レオのしっぽが見えてきたぞ! ソフトバンク内川聖一内野手(35)が試合を決めた。初回に今季初の決勝タイムリーとなる先制二塁打。西武を相手にチームを連勝に導き、ゲーム差も4・5まで詰めた。前半戦は本領を発揮できなかったキャプテンのバットが、後半戦は上昇気配を見せている。

 内川は二塁ベース上で、バチンと力強く手をたたいた。初回の攻撃だ。2死一、三塁で西武十亀の低め直球をとらえた。左中間を破る二塁打で、1点を先制。「つながってきたので、後ろに回せたというのは気分的にホッとしました」。主将の一打が呼び水となり、牧原にも2点二塁打が出て初回に3点を先制した。

 工藤監督も「内川君のあのヒットで、昨日(16日)の勢いがグッときた。内川君の一打が、今日は一番大きかった」とたたえた。内川はここまで、決勝犠飛や相手失策による決勝点はあったが、決勝タイムリーは今季初。それでも「試合に勝てば、誰が決めてもいい」とクールに振り返った。

 チームは前日16日に球団最多タイの8発で大勝。後半戦開幕を前に、工藤監督の掲げた「野球を楽しむ」方針を体現し、チームには笑顔が絶えなかった。内川自身も本塁打を放ったが、必要以上に喜ばなかった。「チームが勝っているときに、明るくなるのは当たり前。ぼくたちはそれを、どんなときでも常に続けないといけない」。目の前の勝利に一喜一憂することなく、逆転優勝を見据えている。この日も7回無死二塁では右打ちを意識し、粘った末の三振。「やろうとした事実だけ」と、気を緩めることはなかった。

 右膝を痛めリハビリ中だった6月、東京まで足を運びインソールをオーダーメードした。自分の足型に合わせて作ったもので「足元がしっかりすれば、プレーが安定するかなと思って」。球宴期間の練習では、米国から取り寄せた「ナイキ ジョーダン」のスパイクも履いてみた。「気分転換ですよ」と話したが、下半身の故障で前半戦は苦しんだだけに、最良の足元を模索し続けた。

 後半戦を連勝スタート。しかも首位西武を倒した。ゲーム差も4・5にまで縮め、獅子のしっぽも見えてきた。工藤監督は「明日も明るく楽しく。野球は楽しく真剣に」と陽気に締めた。【山本大地】