日刊スポーツ評論家の森祗晶氏(81)だが、普段はハワイにいらっしゃる。お会いするのは今回が初めて。初めは緊張した。何しろ、あの森監督が目の前にいるのだ。今年41歳の記者にとって、子供の頃のプロ野球といえば巨人ではなく西武。とにかく、むちゃくちゃ強かった。クラスの男の子の大半はレオマークの帽子をかぶっていた。その西武の監督だ。

 緊張はすぐに解けた。「7、8、9回の失点が多い」「菊池は、なぜ完投しない?」「キャッチャーの森。楽しみだ」。次々と話題が出る。対談が終わる頃「黒縁眼鏡の怜悧(れいり)な指揮官」というイメージは「ライオンズ愛にあふれた好々爺(や)」に変わった。その日の始球式。ボールは森さんから辻監督に届いた。黄金時代復活の願いが込められていただろう。【西武担当=古川真弥】