ソフトバンクが首位西武との3連戦の初戦を制した。1-1の3回、柳田悠岐外野手(29)が菊池からバックスクリーンへ決勝の27号2ランを放ち、今季初の7連勝に導いた。貯金は今季最多の8とし、西武とのゲーム差を7に縮めた。

同点の3回1死一塁、柳田は西武菊池の外角低めスライダーに食らいついた。やや追いかけるように体勢を崩されたが、打球の勢いは止まらず、バックスクリーン右に飛び込んだ。「奇跡。まじで。もう1回やれと言われても無理です」。打った本人も驚く1発で今季初の7連勝に導いた。

繊細な準備があった。「木挽ブルーを狙っていきました。ほんまに、そこを意識していた」。バックスクリーン上部のビジョン右下に掲示されていた広告。ちょうど打球が飛んだ方向だった。「思いつきというか、ひらめきですね。その前に引っかけていたので、方向を意識しようかなと思って」。試合前の打撃練習でも逆方向を意識するなど微修正が快打を生んでいる。

21日の日本ハム戦で左膝裏を痛めた影響で、3試合連続で指名打者での出場となっている。6月に左太もも裏を痛めた際や、7月に首を痛めたときも苦しいチーム状況の中で首脳陣は慎重に起用してきた。「すごい気を使って試合に使ってもらっている。それを結果で返さないとなと思います」。第1打席のネクストサークルに向かう前には、必ずベンチ横のボールボーイにあいさつする気づかいの男。首脳陣の配慮に最高の形で応えた。

首位攻防戦で、まずは接戦を制した。工藤監督は「緊張感のあるゲームをみんながしてくれた。負けられないゲームが続くので、力を合わせて頑張ります」。殊勲の柳田も「最高の雰囲気でやっています。まだまだゲーム差はあるので、1戦1戦一生懸命やるだけです」。奇跡の大逆転へ、見据えるはカード3連勝だけだ。【山本大地】