雨が降り続けたマウンド。ポケットのロジンバッグを何度もさわり、阪神小野泰己投手(24)は何とか状況を打破しようとした。だが懸命な思いもむなしく、粘りきることが出来なかった。5回2/3を投げて8安打4失点。5四球を与え、3者凡退はなし。常に土俵際に立たされる苦しい投球で、6敗目を喫した。

「安打を打たれて、四球を出して、常にピンチを抱えながらの投球になってしまった。攻撃にリズムをつなぐ投球が出来なかった」

6回2死から崩れた。西浦に中安を許し、井野にフルカウントからの8球目が外れて四球。一、二塁とされ、投手の原に左前適時打を許した。「一番もったいないところ。抑えていれば、何とか最少失点でいけたのかなと思う」と猛省。引きずるかのように、続く坂口にも四球を与えた。ここでベンチからタオルが投げられて降板。2番手能見も勢いを止められなかった。

2度の出場選手登録抹消はあったが、ここまで先発ローテで回ってきた。メッセンジャーの25試合に次ぐ20試合で先発。香田投手コーチは「ブルペンではいいんですけど、試合になったときの制球力。そこはずっと課題」と話し、「ずっと投げさせてもらっている。責任感というのをもう少し表してくれればいいですね。ものがいいだけに」と厳しかった。金本監督も「簡単に2死をとって7、8、9番での1点。そこからの3点はベンチもガクッとくるし、もったいない」と語った。

初回もバレンティンに適時打を浴びて先取点を献上。チームとしても4戦連続で1回に失点した。1回に失点した試合は15勝27敗。指揮官も「続きますわね、ちょっとね。流れをきってほしい」と要求した。主導権を渡さないためにも、今こそ先発陣の奮起が求められる。【池本泰尚】