ロッテ4位指名の明桜(秋田)山口航輝外野手(18)が30日、秋田市内の同校で指名あいさつを受け、本塁打王獲得を誓った。高校通算25発の長打力と50メートル6秒3の脚力を評価され、30本塁打30盗塁の期待も背負った。2年夏の県大会決勝で右肩を亜脱臼し、プロでも最速146キロ右腕は当面封印。長距離砲外野手としてアピールし、切磋琢磨(せっさたくま)してきた金足農・吉田輝星投手(17=日本ハム1位)との再戦も熱望した。

山口の言葉は、打撃同様のフルスイングだった。訪れたスカウト陣から井口資仁監督(43)から贈られたサイン色紙とボールを手に「1年でも早く、ホームラン王のタイトルを取りたい」。今季チーム最多24本塁打を放ち、4番を担った井上晴哉内野手(29)への弟子入りも志願。「すべてのことを先輩から教えていただきたい」と背中を追う。

その前に決着をつけたい存在がいる。「秋田ビッグ4」と呼ばれ、互いを高め合ってきた日本ハム1位吉田だ。2年夏の決勝では背番号1をつけて投げ合った。一塁けん制で帰塁の際、右肩亜脱臼。それでも投打で圧倒し、甲子園をつかんだ。今夏決勝は準決勝の死球による右足打撲の影響もあり、3三振で敗退。甲子園1回戦をアルプス席で応援したが、準優勝には喜びと悔しさが入り交じった。「まずプロで勝負したいのは吉田。ライバルとして競い合って成長できた。夏に負けた悔しさも3三振のふがいなさもある」。右肩は完全復活に至っておらず、宿敵との決着で外野手人生の第1歩を踏み出すつもりだ。

高校通算25本塁打だけでなく、永野吉成チーフスカウト(50)からは「脚力がある。(西武などで活躍した)秋山(幸二)さんのような選手になってほしい」と期待された。同期となるドラフト1位の大阪桐蔭・藤原恭大外野手(18)とともに30本塁打30盗塁コンビ結成へ。山口も「走るのは遅くない。盗塁もできる」。新たに切磋琢磨(せっさたくま)できる仲間の存在も心待ちにした。

小中高と縦縞のユニホームをまとってきただけに、「プロでも着られるのはうれしい」と、早くも愛着を感じている。大阪で生まれ、雪国秋田で飛躍し、千葉は肩の治療で出向き復活を期した地。「寒いのは得意じゃなく苦労したけれど、寂しさは少しある。千葉は都会で大阪に近いイメージ」。愛くるしい笑顔と豪快なスイングで、幕張に新風を吹かす。【鎌田直秀】