開幕試合は昨年4強の日本新薬(京都)が制した。西武榎田の弟、榎田宏樹投手(29=日本文理大)が先発。5回途中に左足がつったが「なんとか5回まで投げきれば、後ろにピッチャーがいる」と5回2安打無失点と踏ん張った。

昨夏の都市対抗野球後、榎田は激しい腹痛に襲われた。14年の年末に「過敏性腸症候群」の手術を受けるなど、これまでも痛みに苦しむことはあったが、ジョギングもままならないほどだった。訪れた病院で診断されたのは「クローン病」。小腸や大腸などに原因不明の炎症や潰瘍ができる難病だ。現在、完治することは難しく、今も榎田は2カ月に1回ほど点滴治療を受けている。

本格的に投球を再開したのは今年から。食事は豚肉の脂分など消化しにくいものは避け、冬は感染症になりやすいなど、気をつける部分は多々ある。それでも「今がベストの状態で、まずは自分の体を一番に考えて、その中で野球をできているのがいいと思う。今が一番投げるのが楽しいです」と榎田は充実した表情を見せる。痛みの原因も分かり、体は良好な状態になってきている。

4強入りした前回大会は登板できなかった。「去年は戦力になっていない。今年は投げられる立場なので、なんとか戦力になれるように」。主力として昨年を超える成績を目指す。