ソフトバンク工藤公康監督(55)が9日、国内フリーエージェント(FA)権行使を表明した西武浅村栄斗内野手(27)、オリックス西勇輝投手(28)のダブル獲得のために、必要であれば直接出馬する考えを明かした。「一緒に戦ってリーグ優勝と日本一を取りたいな」と話した。この日、秋季キャンプ地の宮崎入りし17日までキャンプを行うが、15日の交渉解禁後の日程次第では、緊急参戦となる。

工藤監督が宮崎へ向かう福岡空港で熱い思いを口にした。球団が正式に浅村、西獲得に名乗りを上げたことで、正直な思いを素直に話した。

工藤監督 あれもこれもにはなりますが、うちは常に勝たないといけないプレッシャーがあるが、うちだからこそのやりがいもある。一緒に戦って、リーグ優勝と日本一を取りたいな。必要であれば僕が話をすることも、やらせていただきます。

就任して4年、浅村、西のプレーは敵としてしっかりと見てきた。浅村とは10年に1年だけ、西武で一緒にプレーもしている。「若いころはもっとブンブン振り回していた。今は見極めがうまくなっている。チャンスに強く、広角にも打てる。あれだけの打点(127)本塁打(32)を挙げる打者は球界にもそうはいない。精神力もあるし(打席での)読みもいい」と絶賛した。

西についても「最近にはいないシュート、スライダーを使う投手。コーナーぎりぎりを突ける制球力もある。常に7、8回投げられる体力もある」と高い評価をしている。

監督が交渉の席へ直接出馬する意味は工藤監督が一番理解している。「新しいチームへ行く不安はある。監督と話をしてそういうチームだと伝えると安心する」と話した。工藤監督自身が現役時代、94年オフに西武からFAした時には当時ダイエーの王監督と2時間のロング交渉をし、決断した。99年オフにFAした際には巨人長嶋監督から「とにかくどうしても来てほしい」と口説かれた。今度は監督として、ONのように浅村や西へ熱意を伝える。

2人を同時に獲得すれば戦力アップと同時に「若手への刺激となる」と、高い壁がなかなか進まない若手の成長を促すとも考えている。秋季キャンプで来季の新戦力を探しながら、交渉日が決まればすぐにでも飛んでいくつもりだ。【石橋隆雄】