ヤクルトが11日、愛媛・松山での秋季キャンプで「脳トレ紅白戦」を実施した。西浦と塩見を監督兼任に指名し、それぞれがジャンケンで選手を獲得。8人対8人で、選手起用や打順、作戦など首脳陣はノータッチで選手任せ。守備位置は投手や打者の特色や状況を見ながら自由に変更するように指示した。小川淳司監督(61)は「自分たちで考えて、感じて、野球をしていかないといけないので」と狙いを説明した。

初回から「頭脳戦」が繰り広げられた。1回表、2死二塁で、打席には右打ちに定評のある4番荒木。白組先発の星は威力のある直球が武器だけに、内野手は定位置、外野手は中堅と右翼に配した。打者荒木は守備側の意図を読み切った。「左翼にいないのは分かっていました」と直球を思い切り引っ張って、無人の左翼定位置へ。先制打を決め、一気に二塁を陥れた。

試合は5回で終了したが、各自が頭を働かせた跡は示した。進塁打を狙ってくる場面で一、二塁間を締めたり、三塁村上を左翼にして内野を3人にし、遊撃西浦を三遊間に置いてセーフティーバントを誘発させたり、内野ゴロを打たせたい場面で内野を5人にしたり。白組監督の西浦は「いろいろ考えた。話し合いはベンチでしていた。考えた通りにいかないところもあるけど、考えることで新しいことが見えてくるかもしれない」と疲労感に充実感を交えつつ振り返った。

ヤクルトは昨季最下位から今季は2位に躍進。今オフはFA戦線など積極的な補強策は敢行せず、現有戦力の底上げを図る。秋季キャンプは連日約10時間のハードメニューをこなし、18日にも同様の紅白戦を実施予定だ。小川監督は「いきなりで思うようにできないのも事実。でも考えてやるという認識は感じてくれたのでは」と期待した。来季に4年ぶりのリーグ制覇を実現させるべく、心技体プラス「頭脳」の強化に励む。【浜本卓也】