11年ぶりにホークスに復帰したソフトバンク新井宏昌2軍打撃コーチ(66)が14日、宮崎秋季キャンプに合流した。王監督時代に2度(03年~04年、07年~08年)1軍打撃コーチを務め、今回が3度目の古巣復帰だ。「2度と日本のプロ野球のユニホームを着るとは思っていなかった。(ソフトバンクは)やっぱり常勝チームという印象です」。アイビースタジアム内でスーツ姿で就任会見を行った後は、ジャージに着替え、初日から精力的に動いた。

メイングラウンドでの打撃練習では7年目の釜元に「もっと右手を使うように」とアドバイス。身ぶり手ぶりで指導した。オリックスコーチ時代はイチロー、ホークス時代は川崎ら、好打者を育成してきた。15年まで所属した広島では丸、松山らが主力に成長。指導実績は申し分ない。「選手の個性にあった指導をしたい。若い選手の育成と、あとは覚醒ですね」。昨年秋には親交のある野茂英雄氏の依頼を受け、メジャーリーグ・パドレスの若手有望選手を現地で指導した。

「若い人と接するのは楽しい。(2軍は)勝負のかかった1軍ではなく、一流というか超一流の選手を育てることができれば、最後の仕事としていいのかなと思った。王会長からも『思いっきりやってくれ』と言われているしね」。室内練習場での個別練習でも居残って若手の打撃に目を光らせた。現役時代に2038安打を放って「打撃職人」と言われた男。3年連続日本一をアシストすべく、次代のスラッガー作りに力を注ぎ、1軍舞台に送り込む。

◆新井宏昌(あらい・ひろまさ)1952年(昭27)4月26日生まれ、大阪府出身。PL学園から法大を経て74年ドラフト2位で南海(現ソフトバンク)入団。トレードで86年に近鉄移籍。87年には3割6分6厘で首位打者を獲得。卓絶したバットコントロールで一時代を築き、92年引退。通算2076試合、2038安打、88本塁打、680打点、打率2割9分1厘。現役時代は175センチ、66キロ。右投げ左打ち。ダイエー・ソフトバンクのほか広島やオリックスでもコーチや2軍監督を務めた。