好感触のマル秘交渉!! 阪神が16日、オリックスから国内FA宣言した西勇輝投手(28)と大阪市内で極秘の初交渉を行ったことが分かった。交渉役の谷本球団副社長は午後1時半頃、電鉄本社で定例報告に出席。その後、午後7時前に伊丹空港へ姿を見せた合間を縫って、“恋人”に思いをぶつけた。通算74勝右腕に「好青年」「すごい価値観」「共感できた」とますますぞっこん。虎の西誕生へ!? フィーリングばっちりの初顔合わせとなった。

まさに電光石火の初交渉だった。不意を突く、隠密の動きだ。オリックスからFA宣言した西との交渉役を務める谷本球団副社長兼球団本部長は午後1時半頃から電鉄本社での定例報告に出席。その後、会議が終わり、日が暮れても、姿を見せない…。実は合間を縫って、秘密裏に動き、意中の人と「密会」していた。

午後7時前、秋季キャンプ地の高知に向かう伊丹空港に現れた同副社長は「会いました。すごく好青年でした」と認めた。FA交渉が解禁された前日15日に連絡し「初接触」したばかり。速攻の極秘交渉は好感触の初対面だった。「もっぱら野球観の話をさせていただいた。非常に野球観も近かった。先発投手に何を求めますかという話し合いをして、そこが見事に一致した」と明かした。

今季は01年以来、17年ぶりの最下位に沈んだ。先発陣も駒不足。通算74勝右腕にエース級の期待をかけている。席上で、谷本球団副社長が切り出した。

「ある時はものすごい投球をするけど、ある時は4回でノックアウト。そういう投手より安定してクオリティースタート(QS、先発6回以上自責点3以下)してくれる。よければ9回まで投げきってくれる。そういう投手の方がありがたいです。球団としても勝ち負けだけでなくそのへんはキッチリ評価しています」

西も深くうなずいたのだろう。自らの今季成績を口にしたという。6回以上投げて、2点以内に抑えたのは実に13試合。3戦は敗戦投手になった。今季10勝だが阪神は数字に現れない点を高評価。QS15試合はリーグ5位タイだ。西と先発観が一致した瞬間だった。

幸先よく滑り出したが、一筋縄でいかない。最大の強敵は潤沢な資金力を誇るソフトバンクだ。「(スケールは)桁違いです」と評し「西の球団と同じ土俵で戦っても勝てないのは分かっています」とも言った。先発投手としての自負心に訴えた初対面だ。中日は撤退してもDeNAが興味を示し、争奪戦の気配漂う。

次回交渉は未定だが、キャンプ後の週明け19日以降なら矢野監督の出馬も要請する方向だ。同副社長は続ける。「彼なりに、こうやったら勝てると自信めいたものを披露してくれた。すごい価値観を持って野球に取り組んでいるんだなとすごく分かります。共感できました」。ベタボレの第一印象だった。【酒井俊作】