運命のライバル物語が始まった。西武ドラフト2位の浦和学院・渡辺勇太朗投手(18)が21日、さいたま市内で入団交渉。契約金7000万円、年俸650万円で合意後、なぜか板前姿になった。交渉の場が、同校の先輩たちも入団交渉に使ってきた老舗「割烹 浜寿司」だったからだ。

白い帽子をかぶると、シャキーンと背筋が伸びた。カウンターで「指先の微妙な力加減が難しい。投球とイメージは似てるかも」と悪戦苦闘。大将の太田義美さん(77)の指導の下、プロのボールより先にすしを握り、青森・竜飛崎産の大トロをペロリ。初めての回らないすしに「生臭くなくて、とろけます」と感激した。ふと見上げると、日本ハム1位の金足農・吉田輝星のサイン色紙。ここで太田さんが「親戚なんです」と衝撃の告白だ。秋田出身の太田さん。実は、妹の嫁ぎ先が吉田の親戚だった。

渡辺は直前「同じ本格派右腕。吉田輝星には負けたくない」と言ったばかりだった。太田さんから「指先が器用だね。うちで働く? 吉田君と2人、活躍してくれたら」とエールを送られた。プロ切符を握った2人の縁を、すしが取り持った。【古川真弥】(金額は推定)