阪神矢野燿大監督(50)が10日、兵庫・西宮市内の鳴尾浜球場で行われた新人合同自主トレを初視察し、ルーキー7人に訓示した。自分を知り、どんな選手になるのかを明確にする大切さを説き、自分の新人時代の経験談も明かした。

ウオーミングアップ後、初々しい顔ぶれが直立不動で聞き入る。年が明けて顔を合わせるのは初めて。矢野監督はプロの経歴が真っさらな7人に語りかけた。「今までプロに入ることが目標だったと思うけど、これからはどういう選手になりたいか。入ってからの方が、もっと大事だから」。その中で強調した部分がある。「慣れるのに絶対、時間はかかる。練習量や自分がどうやってこの世界で生きるか、どんな選手になりたいか、そういうことをしっかり思っていたら、クリアできていけるんじゃないか」。まず己を知れ-。真っ先に伝えたメッセージだ。

新人の動きを見て「自分のことを思い出す」と目を細めた。中日に入団した91年当時の話だ。「俺は入るのが目標やった。そこから目標がなくて中村(武志)さんを見たときに『ウワ、スゴイな。コレ、勝てへんの違う?』ってなってしまった自分がいた」。気後れから一流に駆け上がった。だからこそ前途洋々の若者に意識して欲しいことがある。

「やれば生き残っていける。うまいヤツが残るわけではないと思う、俺は。前監督の金本監督とか、下柳を見ても。俺自身はそうやった。みんな長くやった。うまいヤツは他にもいっぱいいた。(中日の)山本昌さんはそんなに球が速くなくて。だから、やり方とか考え方で変われるところ。自分で頑張ったら変えられることはたくさんある」

ドラフト順位は勲章にならない。己を知り、工夫して練習する。矢野流のヒントを授けた。【酒井俊作】