“嵐”の前の静けさのようだった。オリックスから移籍した巨人中島宏之内野手(36)が28日、密室トレで宮崎合同自主トレの初日をスタートした。木の花ドームで行われた打撃練習で、ただ1人シートで囲まれたケージに移動。譲れない、誰も邪魔できない空間で約1時間、ティー打撃でバットを振り込んだ。通算1759安打の安打製造機が、静かなる調整法で仕上げる。

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か・ら・だ中に視線を集めた中島が、バットを手にシートで囲まれたケージの中に入った。周囲から中の様子は全く見えず、聞こえるのは乾いた打球音。「集中して、打ちたかったんでね。いいスペースを見つけたなと思った」と約1時間後、汗びっしょりで栂野打撃投手とともに再び姿を現した。

オフも公の場に現れず、静かに鍛錬を積んだ。主に海外を拠点に調整を進め「打ったり、投げたり、走ったり。一通りの準備はできています」と準備を整えた。36歳、新天地で迎える今シーズンに向け「スイッチ」を意識。「人間の体って、いっぺんに力を入れるのは難しいからね。自分が力を入れたい時にスムーズに入るような準備を」とENERGYを発揮するための方法論を再確認した。

身も心もジャイアンツSOULを宿らせた。オレンジのパーカ、シューズを着用し、練習開始の1時間前に球場入り。オフから継続する体幹系のトレーニングで体を温めた。全体練習がランニングからスタートし「いろんな情報を聞いたんですが、アップでいきなり走りだす情報はなかった」と西武時代に同僚だった野上にツッコミを入れたが、準備は万全だった。

宮崎入りした前日27日、衝撃のニュースが届いた。親交のある国民的アイドルグループの嵐が20年限りでの活動休止を発表した。「同世代のスーパーアイドル。コンサートも行ったことがありますし、お会いしたこともあるので本当にビックリした。あと2年ですか…。嵐を巻き起こしてほしいですね」。プロ19年目。刺激がほしいから「勝負したい」と飛び込んだ新たな舞台で大きな翼を広げる。【久保賢吾】