萌生&竜聖の新成人コンビがド緊張の“恐縮ブルペン”を展開した。巨人高田萌生投手(20)と大江竜聖投手(20)が29日、宮崎市で行われている1軍合同自主トレでそろってブルペン入り。高田はFA移籍した炭谷、大江はベテラン阿部を相手に投げ込んだ。プロ入り3年目でともに初の1軍キャンプスタートをつかんだ両腕が、経験豊富のベテラン捕手陣との大人の時間を共有した。

脂汗が指先まで伝った。大江の前に仁王立ちしたのは20学年上の阿部。「お願いします」。18・44メートル先まで届くか、届かないかのボリュームのあいさつから始まった。立ち投げのまま30球に差し掛かろうとしたときだった。阿部の手招きで呼び寄せられると「座らなくていいの?」と問われ「防具をつけていなかったので…。座っていただけるならお願いします」。恐縮しきった左腕は「ちゃんと言えよ!」とカツを入れられ投球が再開した。

隣のレーンで炭谷を相手に投げ込んでいた高田も同じだった。同じタイミングで炭谷から「座ろうか?」と言われ「お願いします」とペコリと頭を下げた。ブルペンでは通常、投手主体で捕手に立ち、座り、球種、コース、球数とリクエストする。炭谷と爆笑する阿部から「おまえら、遠慮しなくていいんだよ!」と“1軍”に受け入れられ、大江は60球、高田が50球を投げ込んだ。

恐縮した分だけ収穫もある。高田は、憧れの中日松坂と西武時代にバッテリーを組んだ経験を持つ炭谷から「まだムラはあるけど、いいボールがきていた」とお墨付きをもらった。大江は「高校時代の甲子園よりも緊張しました。シュートしててもしていないように捕球してくれる。引っかけ、抜け球が多くて申し訳なかったです」と赤面した。

新成人の両腕の台頭は投手陣の底上げに直結する。この日は初々しさ全開だったが、キャンプが始まればローテ争いのサバイバルが待ち受ける。恐縮、遠慮は勝負の世界では不要。目の色が変わりつつある萌生&竜聖が1軍ブルペンで大人の階段を1つ上った。【為田聡史】

 

◆高田萌生&大江竜聖 ともに高卒3年目。昨年11月8日のMLB選抜戦では高田が先発し3回7安打7失点の5奪三振、大江が2番手を務め、2回2安打1失点の2奪三振だった。原監督は「メジャーの打者から、あれだけ三振を取れるということは並みじゃない」と高評価。宮本投手総合コーチも「着実に大人の階段を上っている。こういった舞台が成長をさせる」と大きな期待を寄せた。