プロ野球楽天が1日、沖縄・久米島でキャンプインした。ドラフト1位の辰己涼介(22=立命大)は目標に掲げた「開幕スタメン」「トリプルスリー」に向けて好発進。初のフリー打撃で右翼場外を含む柵越え連発など、俊足巧打ではなく「俊足長打」のパワーもアピールした。新主将の銀次内野手らと同組での練習にも緊張せず、初日から大物感を漂わせた。

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辰己が居残り練習を含む全メニューを終えると、ニヤリと笑った。「こんなにずっと野球ができるなんて、楽しくて仕方がない。まだまだ自分を出していない。新人ぶって、格好つけてますね。自分を貫いていきたい」。プロになって新調した白のバットを抱え、充実した表情で初日を終えた。

全選手、スタッフでの記念撮影で始まり、練習同組となった銀次と握手。「まったく緊張はなかったですね」と平常心でアピールを開始した。圧巻は久米島の海に向かって打球を飛ばしたフリー打撃。関西大学リーグ歴代2位の122安打を重ねた俊足巧打のイメージを完全に振り払った。全63スイング中、柵越え6発。両翼100メートル、中堅122メートルの球場で右越え場外弾やバックスクリーン弾も2発放った。

それでも「大きく強く振れている感覚はあったけれど、まだまだ。もっといけるかなと思った。飛んだのは風が強くて参考にならない」と満足していない。自分のポイントまで引き寄せて強くミートすることがテーマ。全体練習後も、ティー打撃やマシン打撃で振り込みを続けた。平石洋介監督(38)も「落ち着いて堂々としていて、たいしたもんやなと思う。打撃はああやって振れることが良い。細くても馬力がある」と高評価した。

大学日本代表で主将も務めた経験を持つ大学NO・1外野手として、目標も高い。開幕スタメンは当然とし、「いずれはトリプルスリーだってやりたい」と3割30本30盗塁にも挑む。宿舎では昨季「1番中堅」に定着し、新人王を獲得した田中和基外野手(24)と同部屋。練習でも定位置争いの宿敵にもなる先輩たちと一緒にしのぎを削る。「すごい方たちから、見て、聞いて、良いものを盗みたい」と意気込む。

関西出身者としてのコメント力も発揮。「“なにわ”ともあれ、辰己の一挙手一投足を見てほしいです」。“口”撃力も魅力の1つだ。【鎌田直秀】