平成最後となるプロ野球12球団の春季キャンプが1日、幕を開け、各球団の背番号「18」も、それぞれのスタイルで始動した。

今季「19」から「18」に変更した巨人菅野智之投手(29)は、セ・リーグを最後に制した14年以来、5年ぶりにキャンプ初日にブルペン入り。36球を投げ、背中でチームを引っ張った。新元号元年の日本一を懸けたシーズンに向け、各地で熱い戦いがスタートした。

菅野が真っ黒なシャツの背中に、びっしょりと汗をかいた。昼食、ノックを終えた後の室内練習場。「出てきた課題をその日に消化できるようにしたかった」とボールを握り、平地から立った捕手のミットを何度も鳴らした。「思い通りの1日だったと思う。これから強度を上げれば課題も見つかってくるので、しっかり克服したい」。落ち着いた口調に、充実感を漂わせた。

さかのぼること、3時間前。「初日にブルペンに入ることに意味がある」と14年以来5年ぶりに、2月1日のブルペンに足を踏み入れた。真新しい背番号18を、マウンドに映えさせ「心機一転というわけではないですけど、気持ちを新たにスタートするという意味ではすごく刺激的なことだと思う」と重みをずっしりと感じた。エースナンバーが刺しゅうされた背中を周囲へ見せることが、チームを引き締める。自らに課された役割を理解した。

高い志がゆえに、投球内容には首を横に振った。1月29日の合同自主トレでのブルペン投球では「今のところ目に見える課題が見つからないぐらい状態がいい」と話したが、この日は「あまり調子は良くなかった」と手厳しかった。変化球を交えて36球。「少し軟らかかったかな」と新ブルペンのマウンドに不慣れな部分もあり、制球がばらつく場面もあった。

疑問を持ち続ける力で、成長をとどめない。ハワイでの自主トレでは同行した後輩の宮国、桜井、中川へ「なぜ?」を繰り返した。「課題はどこにあるのか、なぜそうなるのかを考え続けて、克服していくかが大事」。自らが繰り返す、成長への“近道”を説いた。積み重ねた者だけがたどり着く境地を行動で示した。

練習前に参拝した青島神社の絵馬には「日本一」「20勝」「沢村賞」と記した。「一番の目標はチームの日本一。そのためには僕が20勝して、沢村賞をとれば、ぐっと近づくと思う」。正真正銘のエースが、自らの手で栄冠をたぐり寄せる。【桑原幹久】