楽天ドラ1外野手抗争が勃発! 15年ドラフト1位オコエ瑠偉外野手(21)が、ヤクルトとのオープン戦(浦添)に「1番右翼」で先発。実戦3本目となる特大の先頭打者本塁打を放てば、途中出場の18年1位の辰己涼介外野手(22=立命大)は8回、左中間最深部に実戦2発目となる2点本塁打をたたき込んだ。外野の定位置争いでは島内と田中が当確。残り1枠を巡りしのぎを削る。

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イーグルスが誇る左右のハードパンチャーが、強烈な殴り合いを展開した。口火を切ったのはオコエだ。1回。ヤクルト先発スアレスの134キロスライダーを捉え、左翼ポール際の芝生席にドシッと落とした。「今まで学んできたパワーを生かすスイングができている」と自画自賛の後も、5回1死二、三塁で犠飛を放ち、役目を果たした。

刺激を受けたのが1学年上、途中出場の辰己だ。8回無死一塁、ヤクルト4番手星の144キロ直球をアッパー。スタンドのどよめきを連れてグングン伸びた打球が、左中間最深部に飛び込んだ。「持ち味はセンターから左中間に強い打球が打てること。本塁打はうれしいです」と喜んだ。

早くも2度目のアベック本塁打だ。17日のロッテとの練習試合。「7番中堅」で先発した辰己が2回に左翼への2ランを放つと、途中出場のオコエも負けじと7回、左翼席に特大のソロを放り込んだ。「オコエに勝っている部分は?」と聞かれた辰己は「面白いところですかね」とジャブ。「僕が笑わせる自信があるというより、オコエがおもろないんです」と続けた。気の置けない関係の中で、激しい定位置争いを展開している。

イスは実質1つ。シンプル極まりない内部抗争が続く。オコエが「若手同士で争い、すごくいい環境でやらせてもらっている」と言えば、辰己は「オコエも先輩(島内、田中)もすごくいい。僕もレギュラーとして外野を引っ張れるように頑張りたい」。平石監督からすれば、これ以上ない構図であることは言うまでもない。「オコエは今までにない姿を見せてくれている。明らかに今までよりいいんじゃないか。辰己はレギュラー候補であることに間違いない。将来は1、2、3番を打って欲しいね」。つばぜり合いが続くほど、チームの地力は上がっていく。【鈴木正章】

◆辰己涼介(たつみ・りょうすけ)1996年(平8)12月27日、神戸市生まれ。藤原台小では大淀ボーイズに所属し、有野中では神戸三田ドジャース。社(やしろ)高では投手として最速148キロを記録したことも。立命大では3度のベストナインを受賞し、リーグ通算で歴代1位の田口壮(123安打)に次ぐ122安打をマークした。大学日本代表には2年時から選出され、4年時には主将として18年7月のハーレムベースボールウイーク(オランダ)優勝に導き、MVPにも輝いた。180センチ、74キロ。右投げ左打ち。