西武、巨人などで活躍した石井義人氏(40)が1年10カ月過ごした山形を離れ、2月から新天地の女子プロ野球で本格始動した。17年3月から公徳会佐藤病院(南陽市)の軟式野球部監督を務め、地元開催だった昨年9月の天皇賜杯全日本大会の指揮を最後に退任。今年から日本女子プロ野球リーグ(JWBL)に籍を移し、リーグ全選手を統括する立場の野手総合コーチに就任した。

巨人で代打の切り札として活躍した石井氏が新天地に選んだのは、今年で創設10年目を迎える女子プロ野球だった。1月いっぱいで山形を離れ、2月上旬から選手たちへの指導を開始。埼玉、名古屋を巡回し、26日からは京都に数日間の予定で滞在する。「日本に女子野球文化を根付かせたい」と使命感を口にした。

JWBLは今季で創設10年目を迎え、埼玉加藤優外野手(23)、京都みなみ外野手(22)ら人気選手も多い。埼玉、愛知(名古屋)、京都の3球団で公式戦を行い、上位2チームの直接対決で年間女王を決める。石井氏は巡回コーチ的な立場で、1週間ごとのローテーションで各ホームに滞在し、トップチーム3球団の全野手を対象に打撃、守備、走塁すべてで技術指導する。現在は3月23日のリーグ開幕に向け、実戦的なメニューにも力を入れる。一部選手を指導した印象としては、「技術的な疑問など、女性の方が積極的に助言を求めてくる。真剣味を感じる。男より教えやすいかも」と、熱心さに新鮮味を感じていた。

山形では畑違いの軟式野球を指導したが、1年目の17年には佐藤病院を天皇賜杯で過去最高の3回戦に導いた。昨年も地元開催で1勝を挙げるなど、東北を代表する軟式チームへの地ならしを終えた。軟式に接したことで「レベルスイングを基本に、バットの出方をあらためて学んだ」と収穫もあった。高校野球視察などでも触れた山形での指導者生活を振り返り、「同じ野球を続けては全国で勝てない。自分たちで気付くこと」とエール。県野球界全体のさらなるレベルアップを願った。【中島正好】