1カ月後の大役へ-。広島大瀬良大地投手(27)が28日から初の大役へ向けて1歩を踏み出す。26日に打ち上げた春季キャンプでは、自己最多の約970球を投げ込んだ。充実感はあっても、満足感はない。周囲の期待と評価は高まる一方で、自身の不安は拭い切れていない。初の開幕投手を目指して、万全の調整を重ねていく。

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大瀬良に大黒柱の自覚が芽生えた。キャンプでは若い投手から求められた助言を伝え、後輩を食事に誘って悩みも聞いた。主戦と期待されるシーズンへの準備も念入り。キャンプでは昨年よりも約200球多い、約970球を投げ込んだ。「僕の記憶の中では最多。投げ込んだ割に、今年は体が元気だった。やることはやったし、やりたいこともできた」。初の大役となる巨人との開幕戦「3・29」を見据え、オープン戦での登板を重ねていく。

昨季は最多勝と最高勝率の2冠を獲得。開幕投手の最有力候補だ。シーズン中は各球団のエース格と投げ合うことが増えることが予想される。「昨年は勝たせてもらったけど、同じような投球では勝てない。そこで勝てる投手にならないといけない」。オフには水泳トレで肩関節の柔軟性を高め、セットポジションの改良にも取り組んだ。

周囲の評価や期待が増す一方で、本人には不安が残ったままだ。「もともと心配性だからかな。みんながいいと言ってくれても、不安しかない。昨年も、不安のまま開幕を迎えた気がします」。不安だからこそ課題を見つけ、成長と進化につなげてきた。2冠達成の昨年もそうだった。

対外試合初登板となった24日DeNAとのオープン戦では勝負球が甘くなり、3回3失点。「左打者の内角に投げきれなかった。あそこを投げきれないといけない」。初登板で課題を残したのも、大瀬良のシーズン前の「恒例行事」かもしれない。今後はオープン戦で実戦登板を重ねながら実戦勘を取り戻していく。

緒方監督は開幕投手について、キャンプ最終日にも「まだ考えていない」と話すにとどめた。だが、大瀬良の目ははっきりと「3・29」を捉えている。「そこを任せてもらえるようにやっていく」。残された1カ月で不安を振り払い、開幕のマウンドに立つ。【前原淳】

<大瀬良のキャンプ>

1日 キャンプイン

2日 初ブルペンで50球

7日 フリー打撃初登板し、打者4人に28スイングで安打性3本。

17日 シート打撃に登板し、打者6人に無安打1四球。

19日 ブルペンで「インターバルピッチ」。15球後に2分休憩。これを9回繰り返して135球を投げた。

24日 オープン戦開幕となるDeNA戦で先発。自身今季初の対外試合では3回3失点。

26日 キャンプ打ち上げ