開幕ローテ生き残りを懸ける阪神藤浪晋太郎投手(24)が、新スタイルを披露した。ソフトバンクとのオープン戦で7回からマウンドへ。2イニングを2安打無失点に抑えた。走者がいない場面ではノーワインドアップで投球。リリースの腕も以前より下げた新投法で好結果。もがき苦しんだ右腕に光が差した。

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試行錯誤を続ける藤浪が今季初めて無失点でマウンドを降りた。7回から5番手で登板。先頭の栗原に、初球151キロを右前に運ばれたが、盗塁を捕手梅野が刺して1アウト。続く代打釜元をフルカウントから一ゴロ、周東も一ゴロに仕留めた。8回も1死から高田に左翼線二塁打を浴びたが、後続を打ち取り無失点。「一番いいタイミングでいいテンポで投げることができた。感覚は悪くなかった」と、表情は明るかった。

1週間前とはまるで別人だった。走者がいない場面では腕を振りかぶらないノーワインドアップ。リリースの位置はこれまでよりも下げてテンポよくボールを投げ込んだ。藤浪は「もともと完全なオーバースローではない。ルーキーの時も高校の時もスリークオーター。今日は極端に下げました。いろいろやっていきたい」と説明。最良の形を求めてのチャレンジだった。

沖縄・宜野座キャンプでは実戦計9イニングを投げ、被安打13、9四死球、6失点。前回の2月24日・中日戦でも死球から崩れ、4回を6四死球で4安打3失点と苦しんだ。矢野監督も「本人的には、そういう結果が1つホッとするっていうか、取り組んできたことがなにか、確認作業の1つとしてよかったかなとか、もっとこうかなっていうのが感じられる部分になると思う」と、大きな収穫とした。

練習前にはソフトバンク工藤監督にアドバイスを求めた。矢野監督、福原投手コーチを交えて話し込む場面があった。「あいさつをして、こういう感じで投げてみればと、助言を頂いた」。詳細は明かさなかったが、何事も貪欲に吸収する藤浪らしさは失っていない。新スタイルで投じた17球。この日の試合が復活を期す右腕にとって意味のあるゲームになった。【桝井聡】