中日京田陽太内野手(24)が3日、荒木雅博2軍内野守備走塁コーチ(41)の引退試合となったオープン戦・ロッテ戦(ナゴヤドーム)で、惜別の2安打を放った。背番号2を背負った荒木コーチの最後の姿を目に焼き付け「いつか球界を代表するショートになって、ご報告したい」と、成長への決意を新たにした。

「本当は一緒に守りたかった」。そんな思いで臨んだ試合だった。荒木コーチとともに、試合前のシートノックに飛び出した。開幕に向け、競争の場にいる若手の邪魔は出来ないと、荒木コーチは二塁出場を固辞。ただ「23年間、試合前にはシートノックをやるというのが習慣だったので。シートノックだけは入らせてもらいます、と言いました」と、二塁の守備位置に就いた。久しぶりに師匠と呼吸を合わせた。「感極まりました」(京田)。思いはバットに乗り移った。

荒木が最後に二遊間コンビを組んだ遊撃手。それは京田の誇りで、支えだ。スーパールーキー根尾昂(18=大阪桐蔭)が昨秋、ドラフト1位で入団。根尾を認め、切磋琢磨(せっさたくま)する気持ちを温めながらも、京田は「根尾になくてぼくにあるもの。それは荒木さんと二遊間を組んだ経験」と言った。名手と息を合わせた経験は、何ものにも代え難い。

この日も荒木コーチは、助言をくれた。吉見が登板した4回、2死の守りで田村の打球に追いつけず、中前打にした。吉見は3連打を浴び、2点を失った。「ポジショニングを考えないと、と言われました」。“現役最後”の助言だった。ともに過ごした時間を糧に、強竜復活の開幕へ京田は向かう。【堀まどか】