楽天安楽智大投手(22)が、チャンスをものにする。故障の岸に代わって今季初先発した5日オリックス戦で7回3安打2失点(自責1)と好投。

「(脱力状態の)ゼロから100みたいなイメージ」で力みなく投げ込む140キロ前後の直球は打者を差し込み、変化球の制球も安定していた。8日の先発投手練習でも、リリースの感触を丁寧に確かめるようにキャッチボール。藤平が登録抹消となり、岸の復帰後もローテで回る可能性が出てきた。

足元を再確認した。大船渡(岩手)の佐々木朗希が国内高校史上最速163キロをマーク。自身も済美高2年時に157キロを出して注目を浴びただけに、置かれた立場に思いをはせる。「スピードには夢がある。出てしまうと、ずっとついてくるもの。163なら、次は164、165となりますし…」。投手の本能や周囲の期待と向き合いながら「自分を見失わないことが一番。どれだけ自分の理想のフォーム、理想の力具合で(無理なく)パフォーマンスを出せるか」。言葉には、実感がこもる。

高校時代もプロ入り後も故障に苦しめられ、投球フォームやトレーニング法を模索。剛速球へのこだわりも、今はいったん胸の奥にしまい「まだ1試合。頑張るだけ」。貪欲に結果を求めていく。【亀山泰宏】