3種のグラブを持つ選手会長がチームに勝利を届けた。中日福田永将内野手(30)が巨人戦で逆転の2号2ランを放った。巨人に1点を勝ち越された直後の6回2死一塁。メルセデスの2球目、高めの直球を強振すると、打球は左翼スタンド最前列に吸い込まれた。

福田 メルセデスの直球は動く。ゴロを打たないように高めに絞った。正直、入らないと思っていた。

前日は1点ビハインドの7回1死三塁に代打で登場。空振り三振に沈み、チームも敗れた。眠れなかった一夜を過ごした悔しさをバットに込めた。

昨年までの2年間は主に三塁を守り、昨季はプロ入り初の規定打席にも到達した。だが与田政権では、新主将高橋が三塁に固定。一塁には不動の4番ビシエドがいる。定位置を奪われた選手会長が選択したのは、16年以来の外野手兼任だった。

試合前練習では外野用、内野用、一塁ミットを持ってグラウンドに入る。守備練習では3カ所を掛け持って本番に備え、打撃練習にも一際熱を入れてきた。「(掛け持ちは)楽しいですよ」と、笑う。しかし、本業は三塁手。「いつでもできる準備をしています」と言い切る。

与田監督は「起用する選手が期待に応えてくれる。シーズンの中でも競争してもらうことを話してきた。それがいい形で出ている」と目を細めた。ナインに浸透する与田イズムを選手会長が率先して体現した。これで借金は1。11日からの阪神3連戦(甲子園)で、3年ぶりの貯金を狙う。【伊東大介】