広島床田寛樹投手(24)がDeNA打線を7回1失点に抑え、ハーラートップに並ぶ3勝目を挙げた。

1週間前にプロ初の完投勝ちを挙げた相手を連倒。8三振を奪う熱投で、チームに今季初の3連勝をもたらした。左肘手術の影響で昨年は1軍登板0だった男が、逆襲のキーマンとして欠かせない存在になってきた。

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床田にスイッチが入った。0-0の3回無死一、二塁。2番桑原を迎え、開き直った。145キロのストレートをズバッと外角に決め、見逃し三振。続くソトは外角低めのツーシームで空振り三振に仕留めた。筒香はカウント1-2から140キロのワンバウンドになるツーシームを振らせ、衝撃の3者連続三振。1点もやらなかった。

1週間前に完投勝ちした相手との再戦。「いやなもんですね」と話していた。体力、知力を尽くして封じた相手に、それ以上の投球はなかなかできない。しかも、独特の球筋を体感した相手は、徹底対策してくる。慎重に自らの調子を見極めた。ツーシームはイマイチ。スライダーは使える。相手の反応を見極め、思い切って腕を振った。味方打線の奮起を呼び、堂々の7回1失点。3勝目を挙げ「2回同じ相手を抑えられたことは、自分的にはよかった」と振り返った。

覚悟を決めていた。前回対戦で4番筒香の右肘に死球を当て、途中退場させた。翌日、関係者を通じ謝罪した。当てたことは本当に申し訳ない。だが同時に、内角攻めは自らの生命線ということもわかっている。「しっかりインコースに投げきりたい」と自らに言い聞かせた。第1打席は2球目にインハイに突っ込んだ。3回の第2打席も厳しく内角に2球投じた。6回はやや甘くなったところを右翼スタンドに運ばれたが、逃げずに勝負し続けた。

1勝目のウイニングボールは自分用。2勝目は17年に左肘手術を受けた群馬県の病院用。この日の3勝目は? 「もらえなかったけど、もういらないです」。緒方監督からは「前回同様、試合をつくってくれた」と絶賛された。左肘手術のリハビリに苦しんだのは過去のこと。勝ちを計算できる投手として、チームを支えていく。【村野森】

◆床田寛樹(とこだ・ひろき)1995年(平7)3月1日生まれ、兵庫県出身。箕面学園から中部学院大を経て16年ドラフト3位で広島入団。1軍は17年に3試合に登板して1勝1敗、防御率5・19。同年7月に左肘手術を受けた。昨季は1軍登板なし。今季推定年俸は650万円。181センチ、85キロ。左投げ左打ち。