優勝旗を携えて初の連続日本一に挑む。東北福祉大が東北学院大に5-1で先勝して開幕9連勝。第2戦を待たずに3季連続71度目の優勝を決めた。先発した左腕・山野太一(3年=高川学園)が7回5安打2四球無失点で5勝目。今季36回を投げて無失点の防御率0・00を継続し、最優秀選手賞(MVP)を確実にした。連覇の懸かる6月の全日本大学選手権はシードされ、同11日の2回戦で大阪工大(近畿学生)と創価大(東京新)の勝者と東京ドームで対戦する。

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山野は落ち着いていた。3者凡退は2イニングだけでも、5戦目も7回まで手堅く0を並べた。直球は最速146キロ、変化球はスライダーとカットボールを軸に組み立てた。8回以降は「胴上げ投手」をエース右腕の津森宥紀(4年=和歌山東)に譲ったが、「(防御率)0・00で終わりたいと意識していた。ピンチで抑えることができて、自信を付けたリーグ戦でした」と充実感を漂わせた。

成長の跡は数字に表れている。36投球回で自責どころか失点もなく、5勝と51奪三振も単独トップ。リーグに投手の個人タイトルがないため参考扱いながら、内容的には文句なしの「3冠」。初のMVPと2季ぶり2度目のベストナインも確実にした。視察したフィリーズ大慈弥環太平洋担当部長は「投球がクレバー。ギアの上げ方を知っている」と要所で奪った毎回9三振を評価した。

昨年の大学選手権では2試合に先発も、準決勝の慶大戦で序盤KOされるなど記憶には悔しさしかない。夏場以降も調子を崩した。オフはフォームを安定させるため、試合を想定したシャドー投球を実践。リーグ戦期間中も自主練習のルーティンに取り込み、「コントロールが安定し、1球1球に意図を持って投げられている」と結果を残した。

大塚光二監督(51)は「優勝旗を全員で返すことができてホッとしています」と4年連続34度目の出場を喜んだ。Vメンバーの主力野手の大半が卒業しても、同監督が「本当によく投げてくれた。勝負強くなった」と勝因に挙げたチーム防御率は0・72。6季ぶりの全勝にも王手をかけ、「優勝旗を返すけど、もう1回持って帰るチャンスもいただいた。そこに向かって挑戦したい」。前王者のプライドを持って乗り込む。

【中島正好】