セ5球団さようなら。広島野間峻祥外野手(26)が、延長11回に阪神能見から右越えのサヨナラ打を放った。5月を20勝4敗1分けで終え、月間20勝と同貯金16のダブル球団新記録をマーク。快進撃の5月をセ・リーグ全5球団からサヨナラ勝利となる快挙で締めくくり、単独首位で交流戦への突入も確定させた。

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指2本分短く握ったバットを目いっぱい伸ばし、野間は粘り腰で変化球に食らい付いた。延長11回。2死から安打、四球で得た一、二塁。阪神能見の5球目を仕留めた。「浮いてくる球を(狙っていた)。真っすぐはファウルくらいの気持ちで何とか食らい付いていった結果、良かったと思います」。捉えた打球は前進守備の右翼糸井のはるか頭上を越え、そして大歓声に包まれた。

好調なチームの中で野間はもがいている。2番から6番まで好調な打者が並ぶ打順で、1番を任されている。確固たる打撃が確立できず、1打席の中でもバットを持つ長さを変えるなど試行錯誤。ときには右手と左手を空けて握ることもあるという。打率2割後半をキープしながらも「序盤もいい形で出塁していれば、違う展開に変わったかもしれない」と反省を忘れない。悩みながらも1番の役割をまっとうしている。

投打ががっちりかみ合って5月の快進撃がある。この日は先発床田を援護できなかった打線が、延長11回の2死走者なしから決めた。緒方監督は「接戦を最後ものにできたことは非常に大きい。投手も野手も最後の最後まで頑張ってくれて、勝ちをもぎ取った」と全選手をたたえた。殊勲の野間も「1戦1戦という気持ちで、1試合も(気を)抜くことなく全力で戦えている結果だと思います」と快進撃に胸を張る。

広島は5月の月間勝利数を20勝に伸ばすとともに、勝ち越し数も球団新記録を更新した。今季5度目のサヨナラ勝利は、DeNA、中日、巨人、ヤクルトに続く5球団目。交流戦を前にセ5球団からサヨナラ勝利を収めた。2位阪神に今季最大4ゲーム差をつけた。激勝で5月を締めたが、鯉の進撃は月が替わっても止まらない。【前原淳】