セ・リーグ新人最多安打更新ペースだ!阪神近本光司外野手(24)が、プロ初の2試合連続の猛打賞で一矢報いた。

交流戦開幕から2戦計6安打は12球団単独トップ。1番に座るルーキーが、パ・リーグ相手にもプレッシャーをかけ続けた。

2点を追う6回、近本はチェンの初球をバットに当てた。打球は三塁線で大きくはずみ、三塁手レアードが送球すらできない完璧なセーフティーバント。ここから1死一、三塁とし大山の左前適時打で生還。「得点にからめて自分の仕事が出来たのは良かったと思う」。巧みな小技で試合を動かした。

「タイミングとか少しずれても行くと思っていた」。初回は初対戦だった岩下の初球、148キロ直球を迷わず振り抜き中前打。2四球を選び3打数3安打と全打席で出塁し、これで通算7度目の猛打賞だ。ここまで計71安打。ハイペースで量産し、このまま行けばシーズン178安打ペース。セ・リーグの新人最多安打は58年長嶋茂雄(巨人)の153安打を大幅に上回る勢いで、プロ野球新人最多となる56年佐々木信也(高橋)の180安打も視野に入ってくる。

甲子園のベンチを見ると、近本は矢野監督の近くにいることが多い。戦況を見つめ打席が終われば、ノートにデータを記す。清水ヘッドコーチは、その姿を前向きにとらえる。「偶然かもしれないけど、いいことだと思う。星野(仙一)さんの時も、若い選手は監督の周りに行けというのがあった。監督の考えとかを聞けるし、いいと思う。特にキャッチャー出身の監督は、配球とかもつぶやくから勉強になると思う」。活躍を続けても、謙虚な姿勢は変わらない。

矢野監督は「ずっと近本らしくやっている。セーフティーもうまく決めている。1番としてやれることは十分にやってくれている」とすでに欠かせない存在。まだまだ安打を量産しそうだ。【磯綾乃】