土壇場の逆転劇を期待するスタンドからため息が漏れた。1-2と1点を追う9回守備。先頭筒香が放った打球がレフト前にはずむ。左翼手陽川が腰を落として捕球体勢に入ったが、まさかのトンネル。ボールがコロコロと転がる間に筒香は三塁に到達した。その後、左腕岩崎は2死までこぎ着けたが、2死一、三塁から柴田に中前適時打を浴び、痛すぎる3点目がスコアボードに刻まれた。

「結果、球際というか、今日はそういうところにウチの甘さっていうのが出た。2アウトで打たれた最後の1点も大きい。こういう試合は俺らは取らないといけないんだけど。そこは課題と成長していかないといけないところ」。試合後、矢野監督の表情には接戦を勝ちきれなかったもどかしさがにじみ出た。

力投の先発青柳を見殺しにした。苦手にしているDeNA浜口に三振ゲッツーを含む3併殺。ヒットは出ても打線がつながらない。見せ場は5回の北條が放ったソロアーチだけだった。天敵左腕に7回1失点と抑え込まれ、これで浜口の甲子園での通算成績は4勝0敗、防御率1・49。黄色に染まる本拠地で攻略できない。

近畿地方の梅雨明けが発表された日だったが、甲子園は「じめじめ」のまま。チームは借金4を抱えた。リーグ4位と順位に変動はないが、肉薄していた3位広島とは1・5ゲーム差に。このままズルズルいくわけにはいかない。【桝井聡】