「新世代」の若武者たちが、昨季リーグ覇者との乱打戦で輝いた。日本ハムは7-7で迎えた6回2死満塁で、5番渡辺諒内野手(24)が走者一掃の中越え三塁打を放って勝ち越し。6番石井一成内野手(25)も左翼線へ適時二塁打で続き、この回4点を勝ち越した。4年目平沼のプロ1号も飛び出すなど、新たな時代を背負う選手たちが躍動して3連勝。首位ソフトバンクに迫った。

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三塁に滑り込んだ渡辺は、両拳を勢い良く天に突き上げ、ほえた。日本ハムにとって最高のドラマは、同点に追いつかれ迎えた6回に訪れた。2死から大田、近藤と連打でつなぎ、中田が四球を選んで満塁の絶好機。打席に立った背番号23は「先輩方が回してくれた」。相手投手が平井に代わって、初球にスライダーが来ると読んだ。「データを見ても、スライダーの割合が多い。スライダーかなと思って、それで真っすぐでやられたら仕方がない。思い切って打ちに行きました」。開き直って、ズバリ的中。打球は前進守備だった中堅手の頭を軽々と越えた。

後半戦に入って9試合で3度目の勝利打点と、勝負強さが際立つ。高卒6年目で、すっかり二塁手のレギュラーに定着した。打順もじわじわと上げ、今や「大将」と慕う4番中田と中軸を形成する。狙い球にしっかりとバットを出す積極性が、好成績につながっている。左翼線への適時二塁打で続いた大卒3年目の石井も「本当にナベ(渡辺)のおかげ」と、にっこり。こちらも選手会長の中島に代わる遊撃手として、ぐっと出番が増えてきた。

栗山監督は「今から、どれくらいチームが強くなるか。それがないと優勝はできない」と、若手の伸びしろに逆転Vへの望みを託す。21歳の平沼が放ったプロ1号で打線に火がつき、絶賛売り出し中の渡辺がV打。前半戦終了時点では7ゲーム差あった首位ソフトバンクの尻尾は、もう手の届くところにある。【中島宙恵】