巨人原辰徳監督(61)が、史上13人目の監督通算1000勝を達成した。同一球団で1000勝以上は5人目の快挙となった。

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読売巨人軍・長嶋茂雄終身名誉監督 原監督、監督通算1000勝おめでとう。しかし、早いね。あっという間だったような気がします。今でもあの時のことを、はっきりと覚えている。私が監督最終年だった2001年、終盤に差し掛かった頃のとある試合後、原君を東京ドームの監督室に呼んで、「後は頼むぞ」と伝えました。それに対して、彼は決して多くの言葉は残さなかったけれど、ただ、身体全身から漲(みなぎ)る自信を感じました。その真剣なまなざしからは「オレがやるんだ」「任せてください」という気迫が溢れていました。実はそのシーズンの後半戦から、当時ヘッドコーチだった原君にベンチの指揮をお願いしました。堂々とした采配というより、テキパキとした采配で当時から監督としての資質、センスを感じさせていました。偉大なお父さん(故原貢氏)からも、多くの教えを学んでいたことと思います。私が監督として彼に託したかったことは、ジャイアンツは常に勝たなくてはならない。とにかく勝つ。そして、勝ちながらファンの皆さまに、「ジャイアンツの野球とはこういうもんなんだ」と喜んでもらうこと。そして、その中身は、自分で作っていかねばならない、ということでした。また伝統の大切さも常々口にしてきました。しかし、原監督は見事にそれを短い時間で具現化してくれたと思います。

実際、試合を観ていて感じることは、原監督は、実に選手の起用法が的確でうまい。昨日まで2軍にいた選手を翌日、1軍の試合で起用したり、思い切った継投策に出てみたり。原監督の判断力や決断力、いや、思い切りの良さには、感心させられるばかりです。正直、私には真似できない、思い切りの良さを持っています。今、私から原監督に伝えたいことは2つ。1つは岡本君をジャイアンツの4番として、しっかりと育てて欲しい。ジャイアンツの4番はどっしりとしていなければならない。不動でなければならない。岡本君はボールの捉え方を見ていても、その素質を持っていると、私は見ています。2つめはこの夏場をなんとか乗り切って欲しい。そして力強いジャイアンツを再びファンに見せてもらいたいと願っています。私もまた東京ドームへ応援に行きます。監督通算1000勝と言っても、原監督はまだまだ若い。これからも、ジャイアンツの繁栄の礎をしっかりと築いていって欲しいと思います。頼むぞ!