敗戦の中、新星が放つ小さな光は救いだった。日本ハムはプロ初先発の高卒2年目左腕、北浦竜次投手(19)が、5回途中まで6安打2失点。白星には届かなかったが、8月の月間打率3割近くと好調なオリックス打線を相手に試合を作った。

140キロ台中盤の直球は、球速以上の威力を感じさせる。小さく曲がるスライダーにカーブも交えて、4回までは無失点。2回無死三塁のピンチではギアを一段上げて、2者連続空振り三振を含む3者凡退と、圧巻の投球を披露した。

「緊張はなかった」という心が乱れたのは、2点リードで迎えた5回だ。先頭に内野安打を許すと、味方守備の野選も絡んで無死一、二塁。送りバントの構えだった安達に対して、1ボール2ストライクと追い込みながら中前適時打で1点を失うと、さらに四球と左前適時打で同点に。「走者が出ると、そればかり考えてしまうのが悪い癖。今日は集中していたけど…」と雑念を払ったつもりだったが「課題として2軍でやってきたことができなかった」。勝利投手の権利まで、アウト2つが遠かった。

2番手で登板した7月27日西武戦(メットライフドーム)でプロ初勝利をマークし、初の先発マウンドは勝敗つかず。栗山監督が試合前に期待した「臆することなく、自分を表現する」ことはできた。指揮官は「もったいなかったけど、打たれたわけじゃない。よく頑張ったと思う」。オリックスに4連敗も、次代につながる芽は育っている。【中島宙恵】