優勝請負人が、名門球団のレジェンドに肩を並べた。巨人丸佳浩外野手(30)が、広島戦の3回に移籍後初となる23号満塁本塁打を含む1イニング5打点をマークした。巨人での1イニング5打点は史上最多タイで、過去には「打撃の神様」と称された川上哲治が2度、「塀際の魔術師」と称された高田繁が1度達成しただけ。47年ぶり史上3人目の快挙を成し遂げた。

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試合終了から約1時間30分後、ロッカールームを出た丸は球団レジェンドの写真が並ぶ通路を歩いた。金田正一、長嶋茂雄、川上哲治らの前を通り過ぎ、報道陣に囲まれた。球団史上3人目の1イニング5打点は川上、高田以来と聞き「思い残すことはないですね。名前を残せるのはうれしいですし、光栄なこと」と恐縮した。

3回の2打席にパワーと技術を織り交ぜた。この回1打席目の無死一、二塁、外角のスライダーにタイミングを崩されながら、ヘッドをうまく使って、テレビ解説で訪れた松井秀喜氏を「思ったより伸びた」と驚かせる左翼フェンス直撃の一打で1打点。2打席目の2死満塁で、15年5月26日ロッテ戦以来となる自身4度目の満塁弾を放ち歴史に名を刻んだ。

試合開始の約7時間前の午前11時ごろ、一番乗りでレジェンドが並ぶ通路を通って、試合に向けた準備を始める。「特別なことはせず、ほぼ毎回、同じです」と練習前にトレーナーのマッサージを受け、心と体をスイッチオン。試合後は入念な治療でリセットし、最後に球場を後にする。好不調の波に関係なく、開幕から継続し、安定した成績に結び付ける。

原監督からは「見事ですね」と絶賛された。球団史に残る偉業に、普段は冷静な受け答えの丸も少しテンションを上げたが、引き揚げる直前には「この試合は終わったこと。明日の試合で仕事ができるように、準備したいです」と次なる戦いに目を向けた。【久保賢吾】