<西武4-2ソフトバンク>◇30日◇メットライフドーム

西武がソフトバンクのエース千賀から2ラン2本を放って快勝。西武の持ち味が出たが試合を振り返り、チームの記録と照らし合わせてみると、大きな疑問が膨らんできた。

ソフトバンクの本塁打はリーグトップ。しかし本塁打と比例しやすい得点は西武が断トツで、ソフトバンクは5位の日本ハムと1点差の4位。ソフトバンクの犠打はオリックスと1個差の2位。本塁打と犠打が上位なのに得点力が低いのは、効果的な攻撃ができていないからだろう。

この試合でも効率の悪い戦術が目立った回があった。同点の7回、先頭今宮が左前打で、次打者の甲斐が送りバント。セオリー通りではあるが、西武の投手はクイックが苦手な今井でけん制球もうまいタイプではない。今宮の足の状態が万全でないなら代走を送ってもいい場面。機動力で圧力をかけても面白かった。

日本には「送りバント推奨派」が多いが、外野手の守備力も上がり、状況によって大胆な守備シフトをとるため、二塁への送りバントが得点につながりにくくなっている。1死二塁から代打川島が右前打したが走者は三塁ストップ。1死一、三塁になっても一走が盗塁を狙うこともなく、三走がバットに当たったと同時にスタートを切る“ギャンブルスタート”もなし。西武内野陣はセオリーの「やや前」ぐらいの守備位置だったが、三ゴロで勝ち越し点は奪えなかった。

四球も西武がトップでソフトバンクは最下位。ソフトバンクの野手は単純に打って、ベンチは単純に送るだけの攻撃パターンが多いのだろう。投手力がズバぬけているだけに得点力への工夫があれば、ぶっちぎりの優勝ができる戦力だと思うのだが…。【小島信行】