「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」が17日に都内で行われた。

黄色い糸を、ハマの伝統芸能でたぐり寄せた。DeNAが、桐蔭学園・森敬斗内野手(3年)の一本釣りに成功した。昨年まで5年連続で、大卒の即戦力投手を1位指名していた球団。今年も即戦力投手の指名が予想されたが…周囲の予想を鮮やかに裏切り? 幼少期にラミレス監督と握手を交わした「ヨシノブ2世」との交渉権を見事に獲得した。

「おぉ~」。ドラフト会場に上がったどよめきの声が、隣接する記者待機場まで響いた。仕掛けたのはDeNAだ。午後5時過ぎから始まった運命の抽選。ハマの伝統芸能がさく裂した。

12球団中、9球団目の順番となった1位指名。スクリーンに表示されたのは「桐蔭学園・森」。一本釣りに成功したラミレス監督は不敵な笑みを見せ、報道陣の前に現れた。

ラミレス監督 一番欲しかった選手。将来、球団を背負って立つスーパースターになれる存在。

球団史を振り返ってみても、1位には14年の守護神・山崎を皮切りに、今永、浜口、東と大卒投手がずらり。昨年も即戦力投手を指名すると予想される中で、球団編成は高卒野手の小園(現広島)を1位指名。外れ1位で上茶谷を獲得し、大方の予想を見事に外した。会議の1時間前に決めた1位森の“奇策”が、またも見事に“ハマ”った。

ラミちゃんと森は黄色い糸でガッチリ結ばれていた。静岡出身の森は、小学校高学年の時、草薙球場で巨人-ヤクルトを観戦。当時巨人の選手だったラミレス監督と記念写真を撮り、握手も交わしていた。「そこで握手した時のことが、DeNAに指名された時に思い出されました。手が大きくて、温かくて、紳士的でした。覚えているか…多分覚えてないと思うんですけど縁を感じました」と運命をビシビシ感じた。

伝え聞いたラミレス監督は「それは覚えていなかった。うれしいことだね。握手だけでなく、ハグもしたと思うけど」と笑い「彼にとって、握手したプロ野球選手が、今監督をするチームでプレーすることになる。これはすごくいい例」と続けた。09年の筒香以来となる、高校生野手の単独1位指名。ラミちゃんと森の運命の握手から、筋書きは決まっていたのかもしれない。【栗田尚樹】