「ポスト甲斐」はオレだ! ソフトバンク育成1位の黒沢尻工(岩手)石塚綜一郎捕手(18)が10月31日、北上市内の同校で指名あいさつを受け、3年連続日本一を導いた甲斐拓也捕手(26)超えを目標に掲げた。181センチ、83キロの体格を生かした高校通算39発の長打力と、投手としても143キロをマークする強肩が武器。甲斐と同じ3年以内の支配下登録を目指し、侍ジャパン入りの夢にも挑む。

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石塚がソフトバンクの帽子を初めてかぶり、プロでの決意を強くした。「甲斐選手は育成から支配下となり、日本一のチームでレギュラーをつかんだ。最初の3年が勝負。育成時代の練習方法などを早く聞いてみたい」。昨秋に三塁手から捕手にコンバートされ、今夏の岩手大会では背番号2のエース格として36年ぶりの4強進出を導いた。「捕手一本で行きたいと思っています」。経験不足は伸びしろの大きさと信じ、背中を追う。

すでに映像などで参考にし、技術習得に努めている。連続で盗塁を刺す姿は目にも焼きついている。送球時に左足を前に出して捕球することを参考にし「良い球が行くようになった」と手応え。二塁送球1・8秒台まで成長したが「プロではもっと正確性が重要になる。ボディーストップやキャッチングのミスも許されないので、まずはそこが重要」と自己分析した。すべては150キロ超の直球と切れ味鋭い変化球を繰り出す投手陣を想定。「リードして打ち取っていくことはおもしろいと思う」とイメージを膨らませた。

母子家庭で育った感謝の気持ちの強さも甲斐と同じだ。秋田市内に住む母順子さん(43)に雄姿を生観戦してもらうためには、1軍出場が近道。楽天本拠の仙台や、秋田でも公式戦開催の可能性はある。「母からは『やったね』くらいしか言われていないけれど、内心はうれしいと思う。東北でプレー出来る選手に早くなって、家族にも地域の方々にも喜んでほしい」と凱旋(がいせん)帰郷も目標の1つだ。

打撃では、木製バットでも芯に当たれば柵越えを連発する。作山和英スカウトチーフ補佐(50)も「潜在能力は高校生の中でも高い。ソフトバンクOBの城島(健司)選手のような打撃も肩も良くて球界を代表する捕手になってほしい」と期待。日米プロ野球、五輪、WBCでも活躍した先輩や、甲斐が歩んできた道を参考に、石塚は「中学、高校では選ばれなかった日本代表なので、プロになっての目標にしたい」と飛躍を誓った。【鎌田直秀】