世界各国の投手が寄ってたかっても、4番鈴木誠也は最後まで止められなかった。いきなり3点ビハインドを背負った決勝韓国戦。1回裏2死一塁、反撃の適時二塁打を決めた。1ボール2ストライク。韓国先発陣のエース格、左腕梁■種の高めに浮いた直球を逃さなかった。「このままいったらすごい展開になると思った。積極的に攻めていこうとした結果です」。ライナーで左翼フェンスに直撃させ、仲間を勇気づけた。

「チームが勝てばいい」-。信念のもと、大会8試合を走り抜いた。「僕は4番タイプではない。あまり気にせず、つなぐ意識で、というのが多かった。それがいい結果につながった」。全8試合安打を達成。唯一黒星を喫した米国戦以外、7試合で打点を挙げた。打てば勝つ。打たなければ負ける。想像を絶するプレッシャーとのガチンコ対決に勝利した。

打率4割4分4厘、3本塁打、13打点など7部門で12チームトップの数字を記録。大会MVPに輝き、ベストナインにあたるオールワールドチームにも選ばれた。「MVPはもちろんですけど、優勝が目標だったので、それがうれしい。1人1人コミュニケーションを取ったり、数多く打撃投手の方に投げてもらったり自主練習に付き合ってもらった結果です」と力を込めた。

「誠也」。父宗人さんはささやかな思いを込めて名付けたという。「鈴木姓は多い。名前で呼んでもらえるようにしたいと思って、誠也という名前にしたんです」。父の願いは今、想像を超えて実を結んでいる。日本中の野球ファンから「セイヤ!」と連呼され、国際大会で1発を放てば「see ya!(セイヤ!)」と叫ばれる存在に。重圧に打ち勝ち、「Seiya Suzuki」は世界に名をとどろかせた。【佐井陽介】

※■は王ヘンに玄