伝統継承だ。広島田中広輔内野手(30)が25日、広島市内で行われた選手会納会で新選手会長に就任することが決まった。

チームに一体感を求める佐々岡新体制のニューリーダー。歴代の個性ある選手会長とは違う色を出しながらチームをまとめていく覚悟を決めた。今年は右ひざのけがもあり不本意なシーズンとなっただけに、チームとともに捲土(けんど)重来を期す。

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報道陣の前で胸を張り、所信表明のように言葉を発した。選手会納会が行われ、田中広が新選手会長に就任することが決まった。「プレッシャーもありますが、僕なりに、僕らしくやっていきたい。しっかり覚悟を持ってやっていけたら。僕はアツさん(会沢)のようなリーダーシップを持っていないので、僕らしく務めていきたい」。自分色を出しながら、チームをまとめていくことを誓った。

一昨年までは先輩、後輩ともに支持されていたまとめ役の小窪が選手会長だった。今年までは強い統率力でチームをけん引した会沢が務めた。結束力を大事にする広島のチームカラーとして、選手会長が担う役割は大きい。「僕が引っ張るというよりもチームワークが大事。カープのいいところでもあるチームワークは佐々岡監督も言っている。助け合いながら勝っていくチームをつくっていけたら」。新たに生まれた広島の伝統を継承していく。

今年は右ひざの痛みもあり、納得のいくプレーができなかった。低迷するチームを支えられず悔しさばかりが残った。シーズン終盤の8月に「右膝半月板部分切除手術」を受けた。すでにリハビリを終え、通常メニューをこなせるまでに回復。この日は選手会ゴルフに参加して、菊池涼、鈴木、西川と同組で笑顔が目立った。

チームリーダーは主将を務めた中学3年以来で、高校も大学も副主将だった。自分のことをコツコツとやり、グラウンドで結果を残してきた。だが、来年はチームの先頭に立つことが求められる。「まずはプレーすることが前提。気づいたことがあれば、ときに若手に厳しく言ったりしないといけないかもしれないですけどね」。選手としてだけでなく、人としての幅も広がる。来季はきっと新たな田中広を見せてくれるに違いない。【前原淳】