阪神が新外国人として契約合意したジャスティン・ボア内野手(31=エンゼルスFA)はどんな選手なのか。メジャー担当の斎藤庸裕記者が素顔を明かします。

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右から左へと浜風が吹く甲子園。左打者泣かせとも言える球場だが、今季後半にかけてのボアの打撃なら、十分フィットしそうだ。193センチ、122キロの巨体からパワーある打撃は想像に難くない。長打はもちろん、マーリンズ時代の17年には打率2割8分9厘をマークした。今季は5月15日に3Aに降格。約1カ月のマイナー期間後、苦しんでいた打撃に変化が表れた。

基本的には引っ張り打球に力があり、打撃練習では元同僚の大谷翔平投手(25)と飛距離では引けを取らない。データ分析サイトのファングラフスによれば、5月15日の降格前、引っ張り打球は44・8%で、再昇格した6月以降は36・4%。「打撃自体は何も変えていない」と詳しくは明かさなかったが、逆方向への打球は同17・9%から27・8%と明らかに増えた。

実は引っ張り打球が多かった打撃は、本来のボアのスタイルではなかった。「開幕してから苦しんで、いろいろなことを試してしまっていた。だから自分のベストの状態だった時に戻そうと。右翼にも左翼にも、外野の間に打つこと」に集中し、シンプルに考えた。降格前の4本塁打は全て中堅から右方向。昇格後は4本中3本が中堅から左と、逆方向にも長打を打てる自分の打撃を取り戻した。

持ち前のパワーに加え、逆方向にもコンタクトできる技術がある。打ち方を聞くと「それは説明できない。同じスイングだから。何も変えることなく、ボールを打つだけ」と言う。基本に忠実に-。規格外の体の大きさだけでなく、両方向への長打力は他球団の脅威となりそうだ。【MLB担当=斎藤庸裕】