阪神梅野隆太郎捕手(28)が8日、甲子園歴史館が催したトークショーに参加した。甲子園の一塁側ブルペンで、約200人のファンの前で秘話を披露。

「決断が大事だったシーズンでした。まさかオープン戦で順調に行ってシーズンに入ってすぐ足の骨を折って。いままで大きなケガがなく『これ、できるかな』というところから始まってシーズンをやりきった。最初の決断が自分のなかで、いい判断ができたシーズンでした」。4月2日巨人戦で左足薬指を骨折。強行出場し、チームに大きな穴を開けなかった。

当時の心境を「ある程度、フルで100試合以上出るのを2年間やっていて、3年目。この3年間は絶対にやりきりたいのが自分のなかであった」と明かした。負傷後、矢野監督と話し合ったという。「『俺はどうしても早く戻ってきてほしい』という言葉で自分は強行という行動を起こせた。矢野監督が『1日も早く戻ってきてほしいから』と。抹消したら1カ月半くらいは完全に治らないといかせてもらえないと分かっていた。逆算して1カ月半は棒に振ると思った。これはいこうと」。手負いの状態だったが、すぐに戦線復帰。4月9日DeNA戦でサイクル安打を達成した。

今季は2年連続でゴールデングラブ賞に輝いた。129試合出場で打率2割6分6厘、9本塁打、59打点、14盗塁をマークした。1年間の印象的な試合を問われると「最後の6試合、負けられない戦いはいままで味わったことがなかった。6試合全勝しないといけない。1試合でも負けていたらいけなかった。いままでにないくらい、決勝トーナメントでずっとトーナメントを戦っていく気持ちで、特別な、いままでにない思いをしました」。チームは積極的な継投策を採って、攻撃的に戦った。「捕手として、その継投が難しい。先発が途中から代わるとなったときに誰が出てくるのか。逆算が結構、できなかった。いろんな意味で、中身の濃い6試合でした」。チームはシーズン最終盤に6連勝して、クライマックスシリーズ進出を決めた。

この期間に継投でフル回転の活躍を見せたのはガルシアだった。梅野は「一番、プレッシャーがかかると思う。(好投で勝ちを重ねて)毎回、甲子園のロッカーで気分がよくなりすぎて1人でパプリカを踊っていた。めちゃめちゃ面白いですよ。スピーカーで曲を流しながら、1人で振り付けしながら踊っていました」とユーモアも交え、笑いを誘った。

来季も正捕手として不動の地位を目指す。「自分は(開幕前に)ホームラン10本、打点50、盗塁2桁を目標にしていました。打撃が良くないと使ってもらえないと、自分が出られない3年目に感じたので、そこのプライドを持って毎年戦うようにしている。今年は特に得点圏(打率)ですね。チームでトップだった。そこにこだわっていきたい。捕手なので、得点圏で嫌な打者になる」と話した。チームは05年以来、優勝から遠ざかる。「捕手として優勝というところだけ見て、来年やっていきたい」と抱負を語った。