“探り”をはるかに上回った! DeNA新外国人タイラー・オースティン内野手(28=ブルワーズ)が23日、中日とのオープン戦(北谷)に2番DHで先発。昨季セ・リーグ最優秀防御率の大野雄から2本の二塁打を放った。これで対外試合5試合で10打数8安打で2本塁打、4二塁打。オープン戦に限れば5打席連続安打で4長打の大爆発。「ヒットゾーン」を見極めにくる同一リーグのライバルたちに、強烈なインパクトを残し続けている。

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前日、右肘の張りで楽天とのオープン戦を急きょ出場回避した影響を、みじんも感じさせない鋭いスイングだった。オースティンは1回無死一塁の第1打席で中堅左に二塁打を放つと、2回2死一塁で大野雄と2度目の対戦。3球目の134キロを力みなく振り抜き、左翼線への二塁打とした。昨季、無安打無得点を記録した好左腕も脱帽の一打だ。

中日大野雄 1つめは真っすぐ。2本目はインコースのスライダーをファウルにできるか確かめようと思った。悪い球じゃなかったけど、うまく打たれた。

5回無死の第3打席は昨季11勝の柳からストレートの四球。その後、5番宮崎の二塁打で、一塁から本塁生還。アグレッシブな走塁にも敵将が警戒を強めた。

中日与田監督 レフトへの強い当たりもあったし、走塁もいい。要警戒だね。いろんな情報を集めていかないと。

対外試合5試合で打率8割と絶好調の新助っ人は「ボールを強くたたくことだけを考えているよ。深く考えないで、レベル(スイング)で振ること」と、笑顔でいつもと同じコメントを繰り返した。

メジャー通算209試合で33本塁打の長距離砲だが、114安打の倍近い215三振で三振率3割6分9厘の高さが心配されていた。それがここまで14打席で1三振。4四球と選球眼の良さを見せている。実戦だけでなく、連日のフリー打撃でもボールを見極め、無理に打ちに行くことはない。188センチ、100キロの体格と恵まれたパワー。田代チーフ打撃コーチが「軸がぶれないのが1番いい。小さな動きで大きなパワーが出せる」と言うように、大振りしなくても、自然と打球が伸びる。

ラミレス監督は「シーズンに入れば攻め方が変わってくると思うので、そこでどうなるか」と慎重な見方も示すが、選球眼を維持できれば、“オースティン無双”は続きそうだ。【鈴木正章】

◆三振率 1打席あたりの三振数を表し、三振÷打席で計算。昨季のNPB平均は1割9分9厘で、両リーグで最も高かったのは3割1分の村上(ヤクルト)。3割以上は村上だけだった。最も低かったのは宮崎(DeNA)で7分4厘。

◆OPS(On-base Plus Slugging) 出塁率+長打率で算出するセイバーメトリクスの指標の1つで、総合的な打撃能力を表す。チーム得点との相関が強く、計算も簡単なことから重用されている。平均は0・710前後で、0・900以上で一流、1・000以上で超一流とされる。昨季の両リーグトップは鈴木(広島)の1・018で、12球団で唯一「1」を超えた。