阪神秋山拓巳投手(28)が、オリックスとのオープン戦(京セラドーム大阪)に先発し、5回3安打無失点で開幕ローテへアピールした。緩急を巧みに使い、安定感が光る粘投。課題とした立ち上がりのピンチも、メジャー通算282発のジョーンズを併殺打に仕留めた。開幕が延期となり、未定の先発2枠を懸けた藤浪や中田、スアレスらとのサバイバルも延びる中、存在感を示した。

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秋山がメジャー282発男斬りでアピールの0封につなげた。課題だった立ち上がり。いきなりピンチを迎えた。初回、中川の二塁打に失策が重なり、吉田正にはストレートの四球で1死一、三塁。打席にはオリックス4番の大物ジョーンズが入った。慎重に2球ボールから入り、カウント2-2からの5球目。140キロ内角直球で5-4-3の併殺に仕留めた。「すごい選手なので、1打席目どうかなと思いましたけど。いいゲッツーの取り方ができました」。最高の形で窮地を脱し、流れに乗った。

2回以降は安定感と緩急が光った。4回以外は毎回走者を背負うも、後続を完璧に封じた。「だんだん意図した球が投げられだしたかなという感じで終われたので。次に向かっていけるかなと思います」。5回を79球でまとめて3安打無失点。140キロ前半の直球に、110キロ前後のカーブも効果的に決まった。カウント球から凡打、空振りまで幅広く奪って「どんどん使っていくことができたら、他の球種も良くなって、うまく使えるかなと思いました」。確かな収穫も得た。

矢野監督は粘って無失点の右腕に「アキらしさというのはあったと思う」と評価。その上で、もうワンランク上を要求し「でも、もう1個やな。決めるところで決めるような。さらなる安定感というのは、ほしいかなという風には見えた。こういう結果を出して、いい競争になっているんでね」。

先発ローテは開幕投手内定の西勇、高橋、青柳、ガンケルが内定。残り2枠を秋山と藤浪、中田、スアレスらで争う。生き残りを懸ける3年前の2桁右腕は「今までの中では、配球できていたと思う。後は球の質が上がってくれば」と必死にアピールを続けていく。【奥田隼人】

▽阪神福原投手コーチ(先発秋山に)「良かったと思います。(他の投手含め)いい競争になっていると思う。まだしっかり見て、判断したい」

▽阪神金村投手コーチ(先発秋山に)「ボールの質はもっと良くなるかなと思うけど、今、彼は競争の立場で結果にこだわっていると思うので。その点は良かったと思います」