あるぞ、逆転開幕守護神! 昨年11月の右膝手術から復活を目指す広島中崎翔太投手(27)が17日、中日との2軍練習試合(由宇)に登板。味方の失策でピンチを迎えたが、無失点に抑えた。チームは守護神を決めかねている状況で、リーグ3連覇を支えた絶対的守護神が2度目の実戦マウンドで復活を予感させた。

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いきなりの大ピンチにも中崎の表情は一切揺るがなかった。1点リードの8回に登板。先頭石橋の左中間への打球を左翼手のルーキー宇草が落球。一気に三塁まで進まれた。内野ゴロでも同点に追いつかれる場面。滝野を外角直球で遊ゴロにしとめると、高松を外角低めのチェンジアップで空振り三振。最後は岡林を低めの変化球でバットを振らせ、2者連続三振。「1つ1つアウトをしっかり取ろうと思った。最初のアウトが取れたので、そこが良かった」。1イニングを13球で切り抜けた。

今季2度目の実戦登板で貫禄を見せた。「結果的にはゼロで良かったですけど、まだまだ球の力、コントロールもそんなに良くはないと思います」と冷静に分析する。絶対的守護神として君臨し、通算115セーブを積み重ねた。リーグ3連覇を支え、3年連続胴上げ投手という快挙を果たした。しかし昨季は36試合の登板で防御率4・08と苦しんだ。11月には不振の要因でもあった右膝の半月板部分切除手術を受けた。懸命にリハビリを続け、開幕への道は開けてきた。「すべての面でもっともっと状態を上げていきたい」と完全復活を目指す。

現時点でチームはまだ守護神を決めかねている。新助っ人のスコットとD・ジョンソンに加え、体調不良から復帰したフランスアの3人で争っている状況。開幕延期により、このまま中崎が状態を上げていけば、開幕に間に合う可能性も高まる。「いつ開幕するかはまだわからないですけど、1軍の力になれるように、しっかり結果を残せるように頑張りたい」。定位置返り咲きへ、ピッチを上げていく。【古財稜明】