歴代中日ナインが愛し、“竜党の聖地”の別名を持つ名古屋市内の老舗中華料理店、「ピカイチ」もコロナ禍で大きな影響を受けている。現在は店舗営業以上にテークアウトを重視。収束と緊急事態宣言の解除を待つ日々が続いている。

通常の営業時間は、午後6時から翌日の午前1時だが、現在は午後5時30分から同8時までのわずか2時間半、テークアウト中心で時短営業中だ。兵頭忠保店長(48)は「(10日に愛知県独自の)緊急事態宣言が出てから、今の営業形態にしています。汁物や麺類はできませんが、他のグランドメニューは対応しています」と説明。売り上げは激減して苦しい状況だが、テークアウト時の容器代をサービスするなど、少しでもお客さんのためにと奮闘している。

星野元監督も愛した庶民派のお店で、18年オフに就任した与田剛監督が初のコーチ会議を開催したのもピカイチだった。キャンプ前の今年1月もコーチ会議を開催。昨秋は、地元名大出身の育成ドラフト1位、松田亘哲(ひろあき)投手(22)の仮契約が、同店で行われた。店内の至るところに、歴代ドラゴンズナインの色紙が飾られている。

「中日の関係者、選手から連絡もあります。『お店に顔を出そうか』との電話もありますが、テークアウトしていただくようにしています」(兵頭店長)。星野氏も慕った大ママ、勝子さん(80)を心配する電話も多くかかってくるという。

中日ナインは現在、1勤1休の自主練習でシーズンへ向けて体調管理に努めている。「シーズンが開幕したら、ドラゴンズがみんなに元気を届けてくれると思います」。兵頭店長はみんなが笑って集える日を待ちわびている。【伊東大介】

◆中華料理「ピカイチ」 1965年(昭40)の創業以来、中日関係者やファンが足しげく通う。店内には中日のレジェンドたちのサイン、写真、ユニホームなどが所狭しと飾られ、“竜党の聖地”と評判の有名店。他のスポーツ関係者や音楽芸能関係者も、名古屋でイベントを行った際に打ち上げ等で利用することが多い。所在地は名古屋市千種区今池1の14の5。電話052・731・8413。