プロ野球の夜明けが来る。日本野球機構(NPB)は25日、12球団代表者会議を開き、同日の政府による緊急事態宣言の全面解除を受け、6月19日の開幕を正式決定した。

新型コロナウイルスの猛威で約3カ月遅れで、試合数は143から120に削減。当面は無観客試合で行う。セ・リーグは中止、パ・リーグは短縮を検討しているクライマックスシリーズ(CS)の最終結論は見送られた。国民的スポーツがウイルスと共生するプロスポーツの新様式の旗印となる。

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ようやくたどり着いた。緊急事態宣言の地域が全国から消え、6月19日の開幕を確定させた。斉藤惇コミッショナーは「プロ野球開催は外出自粛などにより、苦しんだ国民の皆様方を勇気づけ、またプロ野球以外のスポーツにも開催の指針を示すことができればと思う」と話した。4月に政府が緊急事態宣言を発令してから、国内プロスポーツで初めて公式戦の開催が決まった。新型コロナウイルスで迷走を極めたスポーツ界にプロ野球が羅針盤となる。

当面は無観客試合となる。政府が掲げた今後の緩和の指針としてプロスポーツは6月19日から無観客、7月10日から屋内、屋外ともに上限5000人と段階的に引き上げていくことを示した。感染状況を見極め、8月1日をメドに上限人数は撤廃されるが屋内では50%以内は維持される。この目安をもとに判断していくことになる。

またCSはセ・リーグは中止の方針で調整し、パ・リーグは短縮での実施を検討しているが最終結論は持ち越された。セ、パが異なる方式で11月21日から予定する日本シリーズに臨む可能性が高い。斉藤コミッショナーは「日本シリーズの条件が勝ち方によって違うのも、本当は私は個人的にはそろわないのかと思う。だが4月3日の代表者会議でセ、パで異なる場合もある、それもやむを得ないと12球団は合意している。セとパ、NPB統一にヒビが入ったわけではない」と一枚岩とした。

通常より23試合少ない、120試合の実施となる。6月2日からの練習試合は首都圏に巨人、DeNA、中日、ヤクルト、西武、楽天、ロッテ、日本ハムの8チーム、関西圏に阪神、広島、ソフトバンク、オリックスの4チームが集い、12試合程度行う。開幕カードはセ・リーグは当初予定から開催地を首都圏に変更する案が最有力。パ・リーグはカードも一部変更し、移動リスクを軽減するために23日からは同一カード6連戦を軸に回すことで検討中だ。最終調整を必要としており、今週中に練習試合とシーズンの日程を発表予定。シーズン日程は感染状況を鑑みるため最初の1カ月程度となる可能性もある。

未知のウイルスに振り回されながら、開幕日を決めた。「家にいて、お子さんたちも出ることができない人にスポーツで元気を与えたい」。あとは無事に船出できるのを待つだけだ。【広重竜太郎】

<新型コロナウイルスを巡る経過>

◆2月21日 日本野球機構(NPB)と12球団が感染防止のため共通の対策実施を確認。

◆26日 臨時の12球団代表者会議でオープン戦の残り全72試合を無観客で実施すると決定。

◆3月3日 Jリーグと連携し「新型コロナウイルス対策連絡会議」を設置、初会合を開いた。

◆9日 臨時の12球団代表者会議を行い、20日に予定された開幕の延期決定。

◆12日 開幕を4月10日以降とすると発表。

◆23日 4月24日の開幕を目指すことを決定。

◆4月3日 24日の開幕断念。開幕の日にちを設定せず白紙に。

◆17日 5月中の開幕断念。交流戦の中止決定。

◆23日 開幕から当面の間は無観客試合とする方針固める。

◆5月11日 6月後半に開幕を目指すことで一致。史上初のオールスターゲーム中止を決定。

◆22日 東京都が緊急事態宣言解除後の無観客試合を容認。

◆25日 緊急事態宣言が全国的に解除され、6月19日の1、2軍同日開幕が決定。日本シリーズの11月21日開幕発表。

○…イースタン・リーグ、ウエスタン・リーグも1軍と同じ6月19日に開幕する。当初はイースタンは3月14日、ウエスタンは同13日に開幕する予定だった。