オリックス育成ドラフト6位の大下誠一郎外野手(22=白鴎大)が、紅白戦で3ランを放ち、支配下選手登録へ猛アピールした。

紅白戦の紅組「6番三塁」でスタメン出場。3回1死一、二塁で迎えた第2打席で、漆原の147キロ直球を捉えた。鮮やかな弾道を描いた打球は、京セラドーム大阪の左翼スタンドに着弾。背番号「006」が西村監督ら首脳陣の前で、アピールに成功した。

「打ったのはストレートです。感触は完璧でした。しっかりと強く振ることを意識して打席に入っていましたし、バッティングカウント(3-1)だったので、思い切ってスイングしたことが良い結果につながってくれたと思います」

ダイヤモンドを一周すると、走者だった伏見、頓宮に笑顔で迎えられ「エアハイタッチ」で喜んだ。

「とにかく結果を出すことが第一優先。大卒からの育成(ドラフト)なんで、時間もないんです…。1日1日で、勝負をかけないと。その考えでしか毎日やってないですね」。練習後のユニホームは、いつも泥だらけ。試行錯誤の中、光が見え始めた。

「入団してから(キャンプで)フォームを変えてやってきた」と言うように打席で構えた際、ヘッドが投手方向に入る癖を矯正した。「つかんだ感覚を離さないために。みんなが休んでいても、自分はやるしかないんです」。休む暇なく、室内でのマシン打撃を繰り返した。

宮崎春季キャンプ中には1軍練習にも参加。1軍の試合にも出場した。「自分は元気が一番。声でチームを引っ張れるような存在になっていきたい。苦しいときに、きつい顔はみんなできる。そのときに、どう盛り上げられるかを考えています」と話す。

その姿勢は、中嶋2軍監督も買っている。「元気もあるし、使いたくなる選手。やることは、まだまだいっぱいありますけど、打つ方はだいぶ上がってきた。そうなると次は守備、走塁が課題になる。まだ、これから試合に出て、学んでくれれば」と評価している。

慢心なく、またバットを持つ。黙々と振り込む。

「みんなよりも、練習やらんとダメなんで。やっぱり、打たんと。努力するしか、自分にはないんです」。言葉よりも、行動-。野球に、真摯(しんし)に取り組む姿勢が、1本のアーチに詰め込まれている。【真柴健】