黙々と試運転を終えた。楽天に新加入の涌井秀章投手(33)がDeNAとの練習試合に先発。3回をパーフェクトに抑えた。3月15日の巨人とのオープン戦以来約3カ月ぶりの実戦登板も最速は146キロをマーク。「ある程度スピードも出ていたので、いい内容だった。元々不安もなかったけど、スムーズにいけたことが一番」と手応え十分の41球だった。

ブランクは黙々と積み重ねた努力で埋めた。5月8日から球団施設を利用しての自主練習が再開後、則本昂らとミニキャンプをイメージし徹底的に走り込んだ。後輩らと汗を流す右腕の姿を目の当たりにした三木監督は「黙々とやるべきことを妥協せず1人で突き詰めている。『涌井さんがこれをするなら僕たちも』というように感じた。若い選手だけじゃなく、いろんな経験を持った選手にもヒントになる」と影響力の大きさを表現する。

マウンドでも表情を変えずに黙々と確認作業をこなした。テーマは「自分の球を試合で投げること」と単純明快。初回には前日2日に場外弾を放ったDeNAオースティンにフルカウントから真ん中やや外角寄りの146キロ直球で押し込み二飛。3回には横浜高の後輩で、左打者の倉本に内角カットボールでファウルを打たせ、最後は外角への新球シンカーで泳がせて二ゴロ。硬軟自在に翻弄(ほんろう)した。

開幕ローテ入りは確実で、則本昂とともに先発陣の軸としての働きを期待される。活動休止期間は家族との貴重な「おうち時間」でメンタルを維持。「100%をキープするのは難しい。80%でスタートして81、2%をキープできれば」。新天地で迎える16年目の変則シーズンも、黙々と走りきる。【桑原幹久】