日本ハム大田泰示外野手(29)が待望の今季初アーチを放った。ロッテとの練習試合(ZOZOマリン)の1回無死一塁、左翼席中段へ2ランを運んだ。2、3月は実戦で0本塁打。オープン戦打率1割4分7厘と不調だったが、自主練習期間明け2試合目で貫禄の放物線を披露した。19日の開幕へ向けて、気を引き締めながら状態を上げていく。

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打った瞬間、三塁側の日本ハムベンチからの歓声が、無観客の球場にこだました。2点を追う1回無死一塁。大田は1ボールから、140キロ直球にアジャストした。「しっかりタイミングを取る、打ちにいくことを今日は考えてやった結果、うまく反応できた」。打球は左翼席中段に着弾。同点2ランは意外にも、今季の実戦初アーチ。久しぶりにゆっくりとダイヤモンドを一周すると、笑顔でチームメートと“エアタッチ”した。

昨季20本塁打の大砲は3月までの不振を脱し、開幕へ向けて試合勘を着実に取り戻している。72日ぶりの実戦となった2日は「マジで、すっげえ速く感じた」と投球の速さに戸惑い、体近くの投球を避けきれず、左手に死球を受けた。「全然、大丈夫」と幸いにも大事には至らず、徐々に目は慣れてきた。「後は変化球への粘り、追い込まれた時に真っすぐをファウルしたり、変化球をケアしている中での粘りだったり」と課題も1ステップ上げた。

目の前の調整と並行して思案しているのが、過密日程となるシーズン中のコンディション維持だ。「野球以外の時間をどれだけ自分のコンディションケアに与えられるか。(感染リスク回避で)トレーナーさんも長いこと、僕らに時間を充てることができない状況なので」と、セルフケアの方法も練習試合期間中に確立したい考えだ。

球界に再び襲ってきたコロナ禍にも「引き続き気を引き締めて、野球以外のところも気をつけてやらなきゃいけない」と、言葉に力を込めた。すべては主力の自覚の現れ。やれることを尽くして、開幕へ突き進む。【木下大輔】