#開幕を待つファンへ 2020年プロ野球の楽しみ方を提案します! ロッテ石川歩投手、楽天松井裕樹投手の両先発は「表情」に絞って追跡。躍動した両軍のルーキー野手にもフォーカスしました。球場に足を運べなくとも、ポイントをグッと絞ると見どころがギッシリ詰まっています。

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静かにスイッチが入った。1回表終了後。楽天松井は三塁側ベンチ前でのキャッチボールの15球目を自らの間合いで力強く投げ終えると「フーッ」と息をはいた。小走りでマウンドへ。ロッテの先頭打者福田秀への初球。捕手からサインをのぞく目に力が入る。142キロの直球でストライクを取ると、2-2から外角高めの141キロ直球で空振り三振。代名詞の雄たけびはない。課題の立ち上がりを3者凡退に抑えても、ほおは緩まない。

目力が増したのは2回、先頭レアードへの3球目。ミットから目線を外し、約8秒かけてセットポジションを整えた。外角高めへ143キロの直球で遊直。「セットポジションの時に投げたいという思いが強すぎて、捕手を両目でずっと見てしまいバランスが崩れた。右目を中心にリラックスして足を上げる時に1度外すのが理想」。1つずつ確認事項をつぶした。

守護神時の喜怒哀楽は鳴りを潜めた。ただ1度「よっしゃ」と漏らした。2回2死一塁。この試合初の走者を四球で出した後、井上を二ゴロに打ち取り声が出た。天を仰いだのは2回の四球、3回に安打を許した際の2度。舌をかみ、悔やんだのは3度。うち2度は見逃し三振を奪ったが狙い通りの球ではなかった。

3回1安打4奪三振で無失点。1回6失点と乱れた3月27日のファーム練習試合巨人戦以来の実戦登板で結果を残した。開幕2戦目のオリックス戦(京セラドーム大阪)での先発が有力。この試合、笑顔は4度。初回の投球練習中にマウンドに足を引っかけた際と、毎イニング後のベンチ内。シーズンでは何度の笑顔が見られるか。【桑原幹久】