「かち上げた」と呼ぶにふさわしい1発だった。ロッテ井上晴哉内野手(30)が中日戦の4回1死、バックスクリーン左へ放り込んだ。
中日柳の138キロ直球を捉えた瞬間、木製バットが高音を響かせた。これぞプロのスラッガー、という1発。「久々のいい当たりだったので、もうちょっと飛ぶかなと思ったが、思ったより手前だった」と、本人は少々物足りないよう。レフトの方向から、強い風が吹いていた。
懐かしい響きだった。ライトスタンドに置かれた3つのスピーカーから、応援団が録音した応援音声が、試合随所で流された。「気持ちも入るし、後押しされている感じでした」。その声に向かって、一塁ベンチ前でいつものようにパフォーマンスを見せる。
低い姿勢で右手をトントントンと、新しい動きを見せた。「試行錯誤を繰り返す中で生まれた一手なので、あと何手出るか分からないが、そこもしっかり自主トレして進めたい」。ユーモラスに話せるのも、攻守に順調に動けているからこそといえる。
しばらく、7番に座っている。若手に多く打席を経験させるのも、1つの理由だ。ただ、井口監督には「7番に長打を打てる選手がいると相手も嫌ですし」と、開幕後の「7番井上」も選択肢の1つとして検討しているもようだ。
井上本人は「4番を打てればもちろんいいですが」と前置きしながら「7番でもやることが変わることはない」とキッパリ。「良い例で挙げれば、西武の打線も切れ目がないというところが投手が嫌がること。よりいっそう、自分でも頑張らないといけないかなという打順です」と話す。オフには断食もした。プロ7年目、30歳。自分を磨いて、たくさんかち上げる。【金子真仁】



