西武のサブマリンが開幕へ向けて浮上した! 3年目の下手投げ右腕、与座海人投手(24)がシーズン前、最後の練習試合となるロッテ戦に先発。緩急と制球力を駆使し、5回まで1死球のみの無安打無得点に封じる好投を見せた。開幕第3戦(21日・日本ハム戦)での先発がプロ初登板になる見通しで、辻発彦監督(61)も「非常にコントロールがいいですし、楽しみです」と期待した。

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1回先頭・福田秀との対決を制して、与座は波に乗った。フルカウントから4連続ファウルで粘られたが、10球目の129キロ外角直球で見逃し三振に仕留めた。これでリズムをつかむと、5回まではスイスイ安全航海。3回にも福田秀を105キロのカーブで三振に切るなど、4三振すべてを見逃しで奪った。

「今日はちょっと珍しい感じ。初めて対戦する打者が多かったので、シーズンが始まったらそういうわけにはいかないと思う」と謙遜したが、直球が130キロ前後の投手が見逃し三振を奪うのは簡単ではない。100キロ前後のカーブやシンカーを駆使して球速差30キロを生み、丁寧にコースを突くことで打者のバランスを崩していく。

球数が70球を超えた6回に球が甘く入り、連打から1死二、三塁としたところでマウンドを降りた。結果この回2失点。最後に課題は残したが、辻監督は攻撃面への好影響も評価し「野手にとっても、ああいうテンポで投げてくれれば非常に次の回の攻撃に移りやすい」とたたえた。

21日のプロ初登板へ向け、入団後の記憶が頭をよぎる。1年目の18年に右肘内側側副靱帯(じんたい)再建手術(通称トミー・ジョン手術)を受け、オフに育成契約となった。リハビリに励み、昨年11月に支配下復帰。新人王の資格が残る今季の戦いを前に「去年の今頃を思うと、全然違う世界にいるので。また新しい野球がスタートすると思って楽しんでやりたい」とかみしめた。

流れるようなサブマリンのフォームは西武の先輩から学んだ。沖縄尚学2年の夏にサイドスローに変え、岐阜経大入学直後にアンダースローに転向した。当時から「真っすぐで打者と駆け引きが出来る」と牧田(現楽天)を参考にしてきた。今季の目標は「初勝利はそうですけど、どこまで自分ができるのかが楽しみなので、目の前の1戦1戦を勝てたらいい」。松沼博-牧田の系譜を受け継ぐレオの新サブマリンは目を輝かせた。【千葉修宏】

◆与座海人(よざ・かいと)1995年(平7)9月15日生まれ、沖縄県浦添市出身。沖縄尚学で13年センバツ出場。岐阜経大を経て17年ドラフト5位で西武入団。18年は1、2軍を通じて登板機会がなく、10月に右肘のトミー・ジョン手術を受け、19年は育成契約。同年オフに支配下登録復帰。今季推定年俸470万円。173センチ、78キロ。右投げ右打ち。